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カテゴリ: 経営

読者の多くが管理職――と勝手に決めつけて今日まで書いてきた。
よって、いまさら「実態は違うよ」と告げられても、「違わない!」と頑なに突っぱねるだけだ。あまりにもたくさんの物流管理者向けコラムや講義をこなしてきたので、ここに至って前提条件が違うなどという身もふたもないハナシは拒絶するのみである。

というわけで、今回も現場管理者諸氏の日々業務のついてのハナシであります。

過去にも拙ブログやセミナーや部門内講義の中で触れてきたが、現場管理者のほとんどが日常業務として庫内およびヤードの巡回を行っていると思う。一応の基本項目を以下に記すが、「うちはそこまでしない」も少なからずあるだろうし、してもしなくても天罰や宝くじが当たるわけではない。個人的には「全然しないのはよろしくないですよ」と言い添えておく。
ざっと書くと、

1.毎日巡回するか否か
2.一日の巡回頻度と定時化しているか否か
3.巡回時のチェックポイントを設けているか否か
4.巡回時の質問や指示の有無
5.巡回後の記録や分析とその活用をしているか否か

のような項目チェックが一般的ではないだろうか。

模範解答は上記5問の回答が全てYESとなることだ。
しかしながらそう書いている当の本人は、「ワシなら、、ウーン、、、そうだなぁ…」

・あんまり几帳面なのは、疲れそう・飽きそう・サボりそう
・最低でも一日一回、定時巡回は守れそうもないので気まぐれでよい
・チェックポイントは一応設けておく(設けなくても無意識にチェックするはず)
・現場で質問したり指示を出したりすることで要注意事項はその場で潰してしまう
・事務所に戻ったら電光石火で各所担当の管理層にメールを飛ばし、対処回答を待つ
・なので個人的な記録や統計は必要ない
・情報共有が好きな人が多いので、改善進捗はスプレッドシートに書き込んでもらう

といった感じでしか巡回を行わないだろう。
生来の不精・不真面目・いいかげんなので、何をやらしてもアバウトでテキトーである。
したがって週次や月次、さらに半期や年次のスケジュールを組み、チェックポイントを図表にして毎回記入し、それを総括して統計化し検証する――実はそういう物流管理者が圧倒的多数派である――のようなルーティンは間違いなくできない。
なので自分なりに続けられる方法でやるしかないのだ。

だからといって、下手で苦手でもやるべきはやらねばならぬ。個性や自由は勝手や野放図とは違う。ブツブツ文句垂れながらも原則や基本は絶対模範として順守するのだ。

「どのような巡回行動をとろうとも、結果として“現場が上手く回る”に至ればよいのだから、方法論に〇×を付けなくてもよいではないか」
という開き直りは厳禁であるし、管理者がプロセスを無視するのは禁忌だ。
なぜなら物流業務では「解答」の正誤より「それを導くための式」のほうがはるかに重要である。正しい式が設定できているなら、誤答は単なる計算ミスに過ぎないからだ。

管理者心得の定石に則った行動を順守し、要点を外さぬ視聴覚は最低限必要である。加減や乗除などの我流はその後に取り込むべきだということぐらいは誰もが承知している。
楷書あっての草書ということだ。

現場を知らずして巡回などできるはずがない。
しかし現場を知っているだけでは、巡回時に気付いたり立ち止まったり虫が知らせたりはしない。現場とそこに繋がるいくつかの線の先にあるモノを把握していなければ、現象として目前で起こっている事態の因果を特定できない。

なんてことをずーっと言い続けてきた。
もちろん明日以降も同じである。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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