物流よもやま話 Blog

いつもの似たような面々

カテゴリ: 本質

万博ロス、、、という言葉が行き交う関西ローカルメディアだが、近畿圏以外では「?」となる人がほとんどらしい。よくよく考えてみればリピーターと海外からの来場者を含めて延べ2500万人ほどなのだから、あたりまえと言えばアタリマエなのだ。
「今回を逃せば、生きているうちにはもうチャンスはない」
という想いで無理して行く人もいれば、そうでない人もたくさんいるということだろう。

個人的な感想としては、大屋根リングは確かに「これは値打あるなぁ」だったが、予約が取れなかったり混みあって入れなかった各国各社のパビリオンへの未練はさほどない。
リングをのんびり歩けただけで行った甲斐があった、というのが正直なところだ。

いっぽうで開催最終日に煽情的な言葉と過剰演出で万博の閉会を報じるTVに、前時代的な痛々しさや内輪宴会で泥酔している面々のような違和感を禁じえなかった。
そのような感情は「愛・地球博」と銘打った20年前の愛知万博開催時にあまり関心を持たず、「行ってみたい・行ってみよう」などと思わなかった自分自身をはじめとする「エリア外」の大多数の人々を思い返せば合点がいく。

2005年当時はまだ東京在住だったが、私の周囲で愛知万博の話題を口にする人はほとんどいなかった。関東ローカルの報道もしかりで、全国ネットの放送で国内の出来事として見聞きする程度が大勢を占めていたのではないかと思う。
ちなみに開催記録を見返すと会期が3月25日から9月25日の6ヵ月、来場者数は2205万人。
つまり今回の大阪・関西万博と似たり寄ったりだったとわかる。国内全体を見渡せば、開催地近郊とそれ以外の地域の温度差もきっと同じようなものだろうと思える。

どうしてこんなことを書くかといえば、開催前と開催後しばらくの間、反対や批判的発言をしていたメディアやそこで食っている人たちの掌返しや沈黙状態を眺めながら、
「うちの業界にも似たようなことが多いなぁ」
とうんざりしつつタメイキを吐くことが何度かあったからだ。
今回のバンパク騒動にしても開会後三か月目ぐらいまでの閑散はメディアによるネガティブ報道や評論が少なからず影響している、、、という指摘を見聞きするたびに、
「それもうちの業界にありがちだなぁ」
と不快な味の唾が口中に拡がる。
直近では2024年問題とかいう物流クライシスのコワイコワイ連呼や悲観論てんこ盛り報道が記憶に新しいはずだが、おそらくきっと読者諸氏をはじめとする業界関係者ですら、もはや色あせた一過性の出来事だったとしか思わないだろう。「ノストラダムス的商法」と指摘した過去稿がいくつかあるので、ご興味ある方はご参照のほど。

自社物流を相手にしていると、物流業界の各種団体や専門メディアが掲げる問題意識とその提起の切り口に違和感やズレを禁じえないことが間々ある。同時に「課題やリスクは大昔からわかっている。それよりも解決策や行動具体を示せ」と独りつぶやくことが毎度である。

機材やシステム依存による「明日から本気出しますよ」的出口しか唱えぬ「いつもの似たような面々」が結論手前でほったらかし、無責任状態のまま議論を〆てしまう。
まともな大人が時系列に遡れば、そもそものリスク提唱者も会合発起人も「いつもの似たような面々」であることがすぐわかるし、それが毎度の段取りであることも推して知れる。
さらにはそのマッチポンプ的茶番を「なるほど~」と本気で見入る観客も「いつもの似たような面々」なのだ。つまり手を変え品を変えての千日手が好きな集団というわけだ。

もう何度目かわからないが、今日も書く。
配送運賃の適正化を唱えるのはもっともだが、それと同時に居眠り運転やをスマホ観ながら運転をはじめとする無法走行の撲滅を徹底してほしい。
運賃値上げで得た適正利益を第一に投じるべきは労務健全化への費用確保、そして社会規範と業務倫理を性根に刷込む教育であることを経営者諸氏はご理解と実践いただきたい。

標準運賃を公的な定価扱いし、値引見積の際の道具にするのはいつか来た道でしかない。
営業している倉庫が保険未加入や営業倉庫登録していない実態も未だ放置されているままといってよい。そもそも荷主への提出書類に標準書式や標準単価がないことも不備や不透明さの原因となっている。いわゆる見積根拠の添付がない試算値は「単なる言い値」でしかないことを認識すべきだと思う。

運送や荷役・保管業務の見積作法や請求項目の標準化については、「徹頭徹尾」というのは無理があるにしても、一定水準まではなされるべきである。
荷主企業が比較検討しずらいことを保身の盾にするような事業者は淘汰されること自明だが、新手の出現を抑え込まねばいつまで経ってもイタチごっこのままである。
苦しんで困っている荷主企業を後援する体で、困りごとの種類を置き換えているだけという物流会社は多い。そんなことが通るのも、ひとえに比較検討するための定規がないからだ。

火の用心と言いながら巡回してくる集団の後ろで火の手が上がる毎度を見逃してはならない。まるでその場所で火事が起こることを知っていたかのごとく、消火活動の最前線でそれらしい掛け声を口して、ちょろちょろと水を撒く。
「ボヤでよかったね。次回からはもっと効果的な方法を皆で考えよう」
というのが常套句なので、その手の輩に出会ったらくれぐれも用心して自衛してください。

もちろん拙者にお知らせいただいても差し支えない。
しかしながら「そいつは明らかに放火魔です」と判じるぐらいが関の山であります。
桃太郎侍のように天誅を加えたり、御用にしてお裁きにかける長谷川平蔵のような腕力や権力を持ち合わせておりませぬので、そこんところはどうかご承知おきを。
口ばっかりで恐縮だが、そんな私をご容赦くださいまし。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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