物流よもやま話 Blog

オヤコよりもマスヲサンに

カテゴリ: 予測

もう空き倉庫情報は結構です。
と宣言しても、あまり効果はないのだろうな、きっと。

なんていうハナシはどーでもよい。
やっと涼しくなってきたので現場にはありがたい。従業員の個人生活にも楽しみの多い季節の到来となる、、、のはわずかな期間で、近年ではすぐに真冬になってしまうのだ。
四季から二季へと移り変わるわが国の気候変動は止まる気配などみじんもない。そうなってくると春や秋は概念上の季節となりつつあり、体感的には夏・冬の二季とその間の短い過渡期で12か月が回っているというのが率直な感想ではないだろうか。

過酷な熱気と湿気が24時間続く夏季については、一刻も早く働きかたを変える必要がある。
現場運用というレベルのハナシに止めず、会社事として経営会議で論じてもらうべき重要事項だと強く申す。現場職をはじめとする物流部門の労務については、既存の全体制度から抜き出して別途再考し再設計することが必要なのだ。でなければ、、、
というハナシをするつもりでもなかったことに今気付いた。

以下は倉庫内における在庫品の保管配置とそれが入出荷作業に及ぼす影響についてのハナシであります。物流にかかわりない方が読んでいることなど皆無だと思うが、一応念のため

「業種業態とその取扱品によってオヤコや複数マスなど千差万別、ってなーんだ?」
という汎用なぞなぞの答えのひとつは、
「ロケーションの設計と運用でーす」
となるのだが、こんななぞなぞはぜんぜん楽しくない、という声があちらこちらで、、、

ちなみに私も楽しいと思ったことはない。

なので常々、
「あぁ面倒くさい。早く終わらせて、しばらくはホッタラカシにしておきたい」
「できる限り入荷からロケ収納までの動線が短く手数も少なく済んで、ピッキング時に間違いが起きにくく、メンテナンスも楽ちんで簡単な方法はどれじゃ?」
と画策してやまぬ。

業種にもよるが、毎度迷ったりモメたりするのが「親子か否か」である。

・動線の距離や時間の測定比較は?
・荷姿は?
・棚やらパレット平置きのみで収まる面積なのか?
・親子で積むならネステナー二段以上なのか、平積みなのか?
・週と月と年の平均的な引当一覧を見てからでないと何とも…
・ピッキングリストを見せてくれー
・ECか否か、はたまた併用か、で全然違ってきそう
・定番率が知りたい
・入荷の頻度とその内容(追加と新規の比率など)

単に「ロケ設計と運用」と書くだけで、読者諸氏からは上記のような質問がつぶやかれていることは想像に難くないし、玄人ならアタリマエだと承知している。

そもそもがこんな議論が絶えぬのはアパレルや雑貨系の物流現場が圧倒的である。
もっと書けば廉価販売のECによくあるハナシであって、入出荷の頻度が計画的かつ規則的で、出荷の一定の見込みや契約ベースであれば、
「ロケを親子にするのか、同一SKUの棚マスを3にするなどして棚運用を徹底するのか」
なんていう選択肢が熟考の対象となることは稀だと思う。

さらには使用できる床面積の許容度によって現場運用は大きく変わってくる。
たとえば、
「単層・床面積余裕、なら親子ロケなど組まずに全部“One Location・One SKU”で運用」
という理屈は、小規模ECばっかりやっている中小零細の営業倉庫にありがちな発想だ。
広大な倉庫建屋への羨望と旧態依然たる「一筆書き動線至上主義」の産物たる理想論でしかない。何を隠そう、過去の私自身がそうだったので実感をもって書いている。
一定規模以上の荷主や自社物流には通じぬことが多いという現実とその理由を仔細に説明するつもりはないが、知らぬが仏とも思えるので、ここでやめておく。

こんなハナシを書けるのもあと数年かもしれない。
なぜなら早晩ワタクシがくたばるから、、、は大いにあり得るだろうし、もはや覚悟している。が、それに先駆けてマテハンの機械化とロボットのコスト低下による導入率の向上のほうがワタクシのモウロクよりも先にやってきそうな気配が濃い。

そうなると、高所だろうが、ものすごい移動距離だろうが、暑かろうが寒かろうが、長時間休みなしだろうが、ヒルメシ抜きだろうが、早朝深夜だろうが、、、
まったく問題なく作業段取りが組めて、しかも一定の生産性で全時間帯を試算したとおりに結果が得られる。システム不具合や部品トラブル以外での破綻は起こりえない。

「現場生産性のカギは作業手順の出来とパート従業員の作業効率および精度である」
なんていう手あかのついた常套句が死語になるのも遠い日ではなさそう。

と書いてはみたものの、「ホンマカイナ」と内心で抵抗している自分が滑稽であります。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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