物流よもやま話 Blog

オモロイ配達員

カテゴリ: 余談

公私ともに個配便とはかかわりが多い。
なので数えられぬほどの出来事が今まであったし、その中身は毎回毎度めまぐるしく喜怒哀楽が入れ替わる多彩なものだ。つい先日も「一瞬の凝固→続いての苦笑→しばらくしてからの思い出し笑い」という“オモロイの三段跳び”ともいうべきやりとりがあった。

――ピンポーンと鳴ったインターフォン越しに「ハイ」と返事をしたら、
「な~がたさん、お届けもので~す、、、置き配でした~」
という配達員さんの画像と声がモニター越しに。
置き配指定で荷が届くことは承知していたのだが、ピンポンに無条件反射してしまい、さらにはとりあえず愛想よく「玄関に置いておいてくださいねー」などと返事する私。
こうなるとおっちょこちょいな配達員さんも私も似たりよったり・どっちもどっちなのだが、不都合や実害がないかぎりはコントのようでオモロイ、で済ますようにしている。
ちなみにくだんの配達員さんが置き配指定の荷を手にピンポン鳴らすのは今回が初めてではない。私の在宅時だけでも3回以上、不在時にもきっと鳴らしていると思われる。
彼の名誉のために付記しておくが、置き配ピンポンは毎度のハナシではない。一般的には「かなり多い」配達回数であろうわが家の個配数のうちの数回である。

また別の個配業者の配達員さんは、配達時間帯は間違えないがその上に書いてある配達日や「対面手渡しor置き配」の指定を確認していないことがたまにあるらしく、予定日の前日や前々日に頼んでもいない置き配で配達完了させてしまう。
あまりにずさんなので当初はCSに指定内容順守のお願いをしたが、とある出来事がきっかけとなって小言を言うのをやめてしまった。
――天候不順な日々が続いていた初夏の頃だったと思うが、突然の激しい雨の中帰宅した際、毎度のとおり指定日の前日に置き配で配達されていた荷を玄関先で確認した。
「またか」とこぼしそうになりつつ、一見して常とは違う荷姿への怪訝さが感謝の念に変わったのは、置き荷が丁寧にビニール袋ですっぽりと包んであったからだ。
雨が降り始めたのはつい10分ほど前のことなので、配達員さんは雨天を案じて降り出しても荷が濡れぬよう、わざわざ手当てして置き配したのだと思う。

雨といえば先に登場した「な~がたさん、お届けもので~す、、、置き配でした~」の配達員さんは、雨天時の配達時には置き配指定でも必ずピンポンを鳴らす。
風向きによっては雨が玄関軒先まで吹き込むことがあるので、そんなときは指定が置き配であっても在宅確認ができる限りは玄関口で手渡しするよう心掛けているのだろう。
土砂降りの時は配達員さんの帽子から肩口にかけてはビショビショなのだが、荷を抱きかかえるようにして車から玄関まで小走りしてくるので、荷物自体はほとんど濡れていない。

「な~がたさん、お届けもので~す、、、置き配でした~」
をひそかなる苦笑や失笑ですましておく私の心の動きを読者諸氏ならご納得いただけるだろうし、皆さんが私の立場になっても同様になさるだろうと思う。
息を切らしてびしょぬれになりながら荷を手渡ししてくれる配達員さんにかける言葉は「いつもありがとうございます」しか出ないし、人間がやっているのだから物事に凸凹があるのはあたりまえではないかと強く思い直すのも毎度のことなのだ。

私は寛容でもなければ温厚でもない。
むしろイラチ・カンシャク持ちの最上級者だと自認している。
しかしながら他者の気遣いや思いやりぐらいはちゃんと感じてちゃんと感謝せねばならぬと肝に銘じているし、それはまともな大人としてあたりまえのことだ。

というハナシをしたかったわけではない。
――のはずだが、そもそも浮かんでいた「書きたかったテーマ」を忘れてしまった。
「老イテマスマス耄碌」という対談記の名著が脳裏に浮かぶ最近であります。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

最近の記事

アーカイブ

カテゴリ

お問い合わせ Contact

ご相談・ご質問等ございましたら、
お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせフォーム