
読者諸氏の多くがすでにお気付かと思うが、最近の個配配達員の平均年齢は明らかに高齢化しているし、その傾向は性別の均等化も含めてまだまだ続くと思える。
運転免許の早期返納を推奨しつつも、高齢者の労働喚起は国家的戦略、、、
「どっちやねん!」というツッコミを禁じえないのは私だけではないにしても、矛盾や二律背反を常在させながらも否定できないことがわが国の実状である。
働き続ければ年金+給与という収入増につながり、「一般論ながらも労働継続は高齢者の健康維持に有益。すなわちひっ迫する健康保険歳出の削減に寄与する」、、、とのことだ。
Amazonは米国内に倣い最終配達内製化※を推し進めるためAmazonFlexの増強加速化。
事業者募集のノウハウが優れているせいか、比較的若い世代の申し込みが多いと聞く。
慢性的な人手不足と労務法令順守の厳格化・監視強化で雇用維持が厳しさを増す個配各社は個人事業主の配達請負比率を上げざるを得ないのだが、その担い手の数は少ない。
(※自前での米国内個配総数は約60億個→米国最大の個配事業者はAmazon)
というわけで大手個配各社は一車当たりの配達完了数が想定よりも下がることは承知で、あえて60歳以上のジジババ配達員を積極的に募集している。
「うちは大々的でも積極的でもない。できるなら高齢者の雇用や委託を増やしたくない」
という事業者があるなら、そんな意識は即刻捨てたほうがよいと申し上げておく。
先入観や偏見は機会逸失や利益損失の元になる。まずは試してみるべきだ。
成功事例は沢山あるので自ら調査してみてはいかがかと思う。
ちなみに拙者得意の好き勝手な試算をしてみるので下記ご参照のほど。
・試算モデルの想定年齢65歳・年金受給者・あちこち痛いところはあるがまあまぁ元気
・配達完了一個単価150円
・平均割当数40個/日
・稼動日数20日/月
として、
150円×40個×20日=120000円
となる。
単価も個数も日数もさほど問題ないように思うが、読者諸氏のご感想はいかがだろうか。
「一日40個の配達完了」は地域によって厳しかったり無理だったりするかもしれないが、それより少なくてもかまわないという人は結構な数になるはずと予想している。
たとえばご夫婦そろって配達をこなすに支障ないぐらいの体調ならば、上記金額を二人で協働して得るという割り切り方もアリなのではないだろうか。
「夫婦二人でせっせと配達して40個」
で体力と収入面の双方で折り合えるとすれば、諸経費引いても年金に上積みする金額としては少なからず家計に寄与するのでは、、、と勝手に想像している。
さらには年寄の知恵を聴取して現場に反映させる試みは非常にオモロイと思う。
「行くところまで行ってしまっている」
と思い込みがちな個配業務の先入観を覆すような意見や気付きがジジババから出てくるかもしれない――そんな可能性を否定してはならないと感じているのは私だけなのかなぁ。
なんてことを書きたくなったのには訳がある。
先月の下旬に立ち寄った長野自動車道・姨捨SAの眼前に展がる大パノラマ(眼下の地平のほとんどが川中島古戦場)に感動しながら姥捨て伝説の物語が脳裏に浮かんだ。
「そうだ人材人員不足の現場業務に絡めてこのハナシを活かそう」
とその際に思い立ったからだ。
蛇足ながら付記しておくと、深沢七郎による小説『楢山節考』は完全なるフィクション。
世間一般に語られている姥捨て伝承の起源となる各物語のいずれにも棄老伝説は存在せず、本来は年長者の知恵や経験を軽んじることは社会的損失であるという教訓である。
棄老ではなく敬老と活老によって知新が叶うなら、即実行する価値は大いにある。
――という過日の出来事がきっかけとなっての本稿であります。
自分が高齢化してきたので、このオッサン急に「敬老」を言い出し始めたよ、、、
だれじゃ、そんな陰口ほざいているのは。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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