物流よもやま話 Blog

しんどい雪かき、あぶない雪道

カテゴリ: 実態

豪雪地帯の方々から鼻で笑われそうだが、倉庫ヤードと前面道路の雪かきはタイヘンである。
と書いてもあくまで「傍で見ていても」という断り書き付きのハナシでしかない。
当事者たる倉庫や配送センターのスタッフの皆さんのように私自身が雪かき作業をするわけではないのだから、わかったようなことを書くのはヒンシュクものだと心得ておりまする。

自宅の雪かきごときで、
「あぁしんどい。指先はツベタ過ぎて痛い。顔の皮膚が破れそうにサブイ。なのに背中や脇にだらだらと汗をかいて暑い。まだ半分ぐらいしか終わってないのにもう腰がアカン」
とすぐに弱音と愚痴を吐く根性無しオッサンからすれば、関与先の広大なヤードや長ーい前面道路の雪かきの作業量と過酷さを思うだけでめまいがしそうなのだ。

それにしてもよく降った。
オリンピック開会式の翌日から自民党大勝の確定値が出るまでの二日足らずほどの間、各地でドエライ降雪が記録されていた。なので週が明けた2/9の月曜日の朝は、想像以上の路面積雪や凍結に慌てふためく事業者や通勤者の姿がニュースで流れていた。
近畿北部では一面雪に覆われて普段の景観が失われた場所も多かった。
20cmを超える積雪で白い平面と化した倉庫ヤードや、屋根に載っている同じ厚みの雪塊が庇の端にせり出して、今にもすべり落ちてきそうな様が目に浮かんで心配になった。

近畿圏に限らず、太平洋側の各都市も積雪で混乱していたようだ。
今でこそ関東南部ではめったに積雪しないが、私がいたころの20世紀末期から21世紀初頭の20年あまりの間は、ちょうど今頃が積雪の頻発時期にあたっていた。
雪による交通機関の遅延や運休で、私学の入学試験が開始を1~2時間遅らせるのも二月の風物のように感じていた人は多かったと思う。
東京都心部が一面雪に覆われて都市機能の一部がマヒし、通勤や道路往来に支障多発。
「雪はきれいだけどやっかい」という日がひと冬に何日かはあった。

ヤードの雪のハナシを書くたびに思いだすのは、勤め人だった若かりし頃の当時、所属部門に併設されている横浜物流センターの敷地全面を雪かきした時の断片的な記憶である。
雪かき道具などないので、板切れやシャベルでせっせと皆で除雪作業、、、人力一本勝負のため途中からは上着もシャツも全部脱いで、上半身は下着一枚で汗だくになりながら、、、
終ったころにはヘトヘトで午前中は仕事にならなかったことも今となっては楽しい思い出なのだが、それにはもうひとつのわけがある。
雪かきを終えてしばし休憩となった時間に散歩がてら近所を歩いたら、普段見慣れているはずの街並みが一変していた――人気ない公園のなだらかな雪景や湾岸沿いの巨大工場群の黒影と鈍色に白銀が重なって輝く遠景はとても美しく荘厳ですらあった。叶うことならもう一度見てみたいと願わなくもないが、このまま思い出にとどめておく方がよいのかもしれない。

JPCZとかいう冬将軍の手先たる武闘派の鉄砲玉みたいなやつのせいで大混乱となってタイヘンなのだぁ――に続くハナシが雪素人の雪かき苦労話ぐらいで済めばよいのだが、道路状況の悪化で車両事故や立ち往生による交通障害が多発するのはよろしくない。
北日本の方によると、
「新雪や圧雪、昼間の凍結はそれなりに御し方があって、足回り装備を整えて慎重に運行すれば大事に至ることはあまりない。雪面や凍結面になれたドライバーでも走行を控えようとするのは、凍結面の上にシャーベット状の融雪が続く路面。四輪駆動×スタッドレスでもグリップを得るのは難しく、下り坂やカーブでは制御困難になることが多い」
のだとか。

私のような雪道初心者でさえ、上記のハナシは実感をもって納得できる。
一定の評価(日本国内で走行試験したデータ開示)があるスタドレスタイヤなら、新雪・圧雪・凍結のいずれでの条件下でも無理ない慎重な運転に徹することで、程度の差はあれ車は安定して走行できる。しかしながら、数日間雪が続いて圧雪→新雪→圧雪→新雪のように踏み固められた挙句にぬるい雨や気温上昇で、表面の雪が解け始めた路面は怖い。

氷の表面に水が浮いている状態になるからだ。
つまりスタッドレスタイヤが一丸苦手な排水機能という弱点が露呈する。
苦手ながらもアスファルト面でウエットならそこそこに路面をつかめるが、融雪シャーベットの下が摩擦係数の低い凍結面だとグリップがおぼつかなくなるのだ。
「そうなるとどうやってもダメなんだわ」
というのが雪慣れしたドライバーの経験談である。
なのでタイヤチェーンも携行しておくか、除雪整備が不十分な道路を含む経路は避けるべきというのが結論になるとのことだった。

なんかJAFやNEXCOの注意喚起キャンペーンみたいになってしまった。
経験豊富な方なら説明するまでもないハナシではあるが、未体験の諸氏は積雪期から融雪期にかけての北近畿や北陸や信越を走ってみれば私の実感を共有いただけると思う。
雪は美しいが怖いものでもあることが身にしみてわかるのです。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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