物流よもやま話 Blog

日常会話「在庫が合いません」

カテゴリ: 余談

ある日のある会社の物流部(以下、親物)と物流子会社(以下、子物)の担当者同士の会話。
伏線や含みは皆無。素の会話をそのまま載せているとお考えいただきたい。よって淡々とした調子でダラダラとやり取りが続くのだが、かえって生々しいかも。
そんな以下になるので、事前にご了承のほど。(こういうパターンは初の試みであります)

親物「また誤出荷だって?」
子物「出ちゃいました」
親物「誤ピックじゃないだろ?」
子物「はい。いつもの品番間違いの出荷指示でした」
親物「毎度のことだけど、受注完了する前に見直しとかしないんかな?」
子物「現場ではわかりませんけど、してりゃ気づくんじゃないでしょうか」
親物「でもお客さんには ‘ 物流センターが誤出荷してすみません ’ 、だってさ」
子物「いやいや、社内的にも部内的にもそうなってるみたいですよ」
親物「部長から改善依頼の要望書を出してもらうようにするよ」
子物「たぶんまた出さないんでしょうね。同じことの繰り返しですもん」
親物「それと、昨日段階での在庫差異は数値変動なし?」
子物「ローカル側ではそうです」
親物「本社マスターなんかまったくあてにならんよ」
子物「相変わらず自動引当後に何件かを手修正してるんでしょ?」
親物「そう。物流部で当日の〆後にデータを送るんだけど、商品部が即日処理しなぁい」
子物「翌朝一番でもいいんじゃないですか?」
親物「譲ってもそこまでなんだけど、面倒がって二日ごとに処理してるらしい」
子物「手入力分なんて10行弱じゃないですか。のんびりやっても30分かからないけどなぁ」
親物「やる気がないし、上長も放置してるんだからどうしようもないよ」
子物「営業さんの尻ぬぐいさせられるのは嫌だ、ですか」
親物「そうなんだよね。なだめてすかして、手を変え品を変えお願いしてきたんだけどね」
子物「あんだけ依頼して急かしてもですか?だとしたらどうにもならないですね」
親物「やっぱり人頼りじゃなく、システムを入れ替えないとだめかなぁ」
子物「なんかいいのがあるみたいですよー」
親物「たとえば?」
子物「あちこち資料請求しすぎて、実はどれがどれかよくわからなくなりました」
親物「あははは」
子物「どれもいろんなことができて便利みたいですけど、ややこしくて」
親物「在庫が合って、誤出荷が止まればいいだけなんだけどねぇ」
子物「うちにあわせてカスタマイズすれば、在庫差異や誤出荷はなくなりそうですけど」
親物「でも高くなりそうだね」
子物「かといって安物買いの銭失い、みたいなのもちょっと、、、」
親物「そりゃそうだけど、稟議あげて質問攻めにされる身にもなってよ」
子物「今までも何回かありましたもんね」
親物「去年の自動倉庫の稟議なんか、金額が大きかったから大変だった」
子物「全自動なら君は要らんぞ、とか言われてましたよね」
親物「そうそう。本部長もひどいこと言うよね」
子物「この前なんか “ Hey Siri 在庫を合わせて欲しい ” って頼んじゃいましたよ」
親物「あははは、それでどうだった?」
子物「“ 覚ておきます ” とこたえてくれました」
親物「あははは」
子物「グーグルやアレクサにもお願いしてみようかな」
親物「やってみたら、どうだったか教えてよ」
子物「はい、“ 覚ておきます ”、、、そういえば、もうすぐ棚卸ですね」
親物「あぁ、ユーツだなぁ」
子物「循環の時点ですでに差異がたくさんあるので、実棚はひどい結果になりそうです」
親物「ほとんどが営業がらみのいわくつき、っていうやつだろ」
子物「たしかに」
親物「あんだけ返品やら取り置き品のキャンセルの未通知やらあれば、在庫も狂うよ」
子物「そのとおりです」
親物「客商売だからわからんでもないけど、、、もうちょっとしっかりして欲しいなぁ」
子物「自動倉庫だったらこんなこともなくなるんでしょうね」
親物「なくなんないよ。むしろ増えるかもしれない」
子物「どうしてですか?」
親物「通常出荷で済むもんでも、変更や取り置きを想定して、特伝で個別引当とかね」
子物「じゃあ自動倉庫の意味がないですよ」
親物「営業部は嫌がるよ」
子物「でも誤出荷がなくなるのは歓迎じゃないのかなぁ」
親物「そう。誤出荷なしで返品や取り置きの一時保留を在庫に反映しない、が理想らしい」
子物「だったら、今のままでいいんじゃないですか?」
親物「そうなんだよね。ただし現場の作業がもっと速く正確になるのがご希望らしい」
子物「速く正確に、って。。。これでも目一杯やってるんですけどねぇ」
親物「お客様を受け持つ営業様の仰ることは絶対、というわけでもないんだけど」
子物「そうですよ。営業さんのドタバタ指示で現場が混乱することがほとんどなんですから」
親物「他社はどうしてるんだろうね」
子物「この前のセミナーで隣だったA社の物流部の方も似たような愚痴をこぼしてました」
親物「へぇー、あんな優良企業でもそうなのか。うちあたりがお粗末でも不思議ないか」
子物「そもそも世の中に誤出荷と在庫差異がない会社なんてあるんでしょうかね?」
親物「あるわけないよ、そんなバケモンみたいな会社」
子物「そうですよね。でもネットやら物流関連の記事には成功事例がたくさん載ってますよ」
親物「そりゃそうさ。うちだって業界紙や経済誌のインタビューなんかで社長が断言してる」
子物「えっ?なんて言ってるんですか」
親物「厳密な業務ルールの徹底に基づく迅速で正確な物流サービスは弊社の最大の強みです」
子物「まじっすか」
親物「まじっすよ」
子物「そんなこと公に言っていいんですかね。自宅の居間で酔っ払った勢いならともかく」
親物「しかたないよ。そう言い張ってるんだから」
子物「役員さんたちも部長や課長さんたちも、だまって頷くしかないですよね」
親物「そうそう。事実よりも理想が大事なんだよ。われわれ下々にはわからんことだよ」
子物「そうですね。黙って聞いとくしかないですね」
親物「でも経費削減の通知はけっこう厳しいよ。理想的な物流業務ができなくなるぐらいに」
子物「倉庫人員の削減目標は絶対無理です。今でもかつかつなのに」
親物「現場の実態よりも上の理想と努力目標が先なんだよ。だから前向きにやるしかない」
子物「どうやっても無理ですけどね。毎年似たような目標設定を繰り返してる気がします」
親物「結果よりもプロセス、だってさ」
子物「でも現場は数字で点数を付けられるんで、結果が未達だと評価が上がんないですよ」
親物「それは営業や仕入も同じだよ」
子物「でも出世したり昇給したりは営業さんや商品部さんが多いですよ」
親物「そりゃ花形部門だもの」
子物「裏方部門のしかも子会社なんて、行く末暗いなぁ」
親物「本体にいても物流は出世やらとは無縁だよ。上に行く人は物流に配属されないからね」
子物「結構大事だと思うけどなぁ。物流がミスるとお客さんが不満に感じるんだから」
親物「そのとおりなんだけど、ミスしなくてアタリマエなんだよね。周りの感覚としては」
子物「だから一年中怒られてるんですよ」
親物「苦労させてすまんね」
子物「他社に比べたら恵まれてるのはわかってるんで、我慢しなきゃいけないと思います」
親物「しかし、誤出荷と在庫差異はもう少しなんとかならんもんかな」
子物「営業さんの伝票と商品部さんの仕入ルールが統一されたら、かなり変わりますよ」
親物「そのハナシは何回も会議で出してるんだけど、部長が先送りしちゃうんだよね」
子物「なぜですか?それが変わればよくなるに決まってるのに」
親物「営業やら仕入に物申すのは気が引けるんじゃないのかな」
子物「そんなもんなんですかねぇ」
親物「部長になってみないとわからんけど、身内で我慢すれば済むハナシでもあるからね」
子物「身内の我慢ですかぁ。けっこうなガマンしてますよね」
親物「部外者は誰も気づかないし、興味もないんだろうけど」
子物「それが証拠に、本社のお偉いさんが倉庫に来ることなんかまずないですしね」
親物「入社時研修ぐらいしか倉庫に来る必要がないし、電話やメールで事足りるからね」
子物「今日もたくさんメールが届いてますよね。電話伝言も数件あるし」
親物「ルール化して、マニュアル作成したら必要なくなる内容のものばっかりだろ?」
子物「9割ぐらいは毎回似たような内容なので、返信も似たりよったりです」
親物「送る側も受ける側も時間と手間の無駄だよ。部長頑張ってくれんかなぁ」
子物「頑張らないのは部長の信念、って皆が言ってます」
親物「こらこら」
子物「そろそろ入荷検収が始まるんで、現場に出ます」
親物「そうか、今日は例の新商品の初入荷だね」
子物「はい、初荷はちょっと緊張しますよ」
親物「荷姿とバラものは目検時の汚れとか傷は画像に残しておいてよ」
子物「了解しました」
親物「商品部は立ち会わないらしいから、現場でエビデンス残してくれってさ」
子物「いつものとおりですね。リアルタイムで確認しないで大丈夫なのかなぁ」
親物「大丈夫じゃないよ」
子物「仕入担当者が立ち会わないから、後になってトラブルが出てくるんですよね」
親物「納品したら全然違う商品だった、とかね。ケース販売でも中身の目検は必要だよ」
子物「入数の確認も」
親物「どうしていつも、必要ないの一点張りなんだろうか」
子物「だから在庫が合わなくなったり、そもそもが違う商品を引き当てて、誤出荷とか」
親物「だいたいわかってるんだけどねぇ。ミスの理由なんかいくつもないんだから」
子物「じゃあ、立ち合いしてきます」
親物「ほんとうに立ち会うだけ、だもんね」
子物「たしかに」

こんな朝の会話があちこちの会社で交わされている、、、らしい。
私も聞いたハナシなので、その実はわからない。
なんとなく「ありそうだな」とは感じているが。

経営層の皆様、、、出番です。

著者プロフィール

主筆 T_NAG
大阪 泉州育ち。​
1988年 慶應義塾大学卒業。
しかし、ボンボンでもイケメンでもない。

失敗や挫折の数なら、世界規模の自慢大会に出ても結構いい線行くのでは?
と自画自虐しています。

映画と音楽と小説が大好き。
カメラは人生の伴侶みたいなもの。昔は車マニアでしたが、最近は楽にドライブできることが最重要。なので、燃費と快適性が車選びの基本に。

泥臭い努力型の典型なので、弁舌鋭いキレキレな遣り取り、とかは無理です。

【仕事の自慢】
「取引する企業は必ず業績が良くなる」
​何にも替えがたい喜びです。

【好きな言葉】
「粗にして野だが卑ではない」
​絶対に曲げることのない信条です。

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