物流よもやま話 Blog

梅雨が明けたら五輪がやってくる

カテゴリ: 余談

今年も半分が過ぎた。
のようなことを、毎年7月の第一掲載では書いているような気がする。
そしてまもなく梅雨が明けるだろう。例年と違うのは、下旬に東京オリンピックが開会するという点だ。開催についての意見が種々さまざまであることは承知しているが、読者諸氏はすでに食傷気味と察するのでたくさんは触れない。願うのは出場する選手と現場で運営を支えるスタッフの方々へのケアとサポートを第一に、ということばかりだ。
(陸上男子4×100mリレーと110mハードル、そして走り幅跳びは期待大だ。コロナ禍ではない状況であっても、今のレベルならひいき目なしでメダルが期待できるはずだし、それに加えての自国開催がいっそうの好材料となる。短距離や跳躍競技でのメダルなど私が高校生の頃には考えられないことだった)

五輪期間とその前後で物流業界が直面する問題としては、陸海空の経路規制や在宅でのTV視聴者の増加による個配件数の急伸が思い浮かぶ。しかしながら、コロナ禍による不幸中の幸いと書くのが適当なのか否かは別として、かような状況になって久しいのだから、どうやら大きな混乱や規制による不便はなさそうだ。
期間中の在宅率上昇が及ぼすであろういくつかの危惧は、コロナ禍が強いた外出・移動の制限や自粛によってもはや常態化している。

そもそも何となくケチが付いた感が否めないオリンピック自体への関心が予想通りに維持されるのかからしてあやしい。だから俗にいう五輪特需や五輪停滞もほぼ無いに等しいのではないか、と勝手に思い込んでいる。
良いのやら悪いのやらよくわからないが、テレビの前に座る時間がやや長くなること以外は、コロナ禍で平常となってしまった暮らし方のままに終わりそうだ。自国開催ながらもどこか他人事として距離を置いた意識が多くの人に漂う気がしてならない。
そうなれば盛り上がりという点では物足りなさを否めないだろうから、録画やダイジェストでの観戦や結果視聴が多くなるような気がする。正当な世論調査などを引用しているわけではなく、あくまで「私はそう感じる」「私はそう思っている」ということわり付きののコメントなので、みなさんがどのような五輪観賞とするのかはわからない。

あまり話題にならないが、実は先月中旬以降、各種品目のセール時期に突入している。
傾向としては、昨年から続いている「ECでのセール強化」と「異業種もしくは隣接業種との共同催事」が盛んである。
したがって、物流現場は何かと手間仕事が多くなっている事例がとても多い。
福袋や特売用のアソート作業が増える。通常の梱包とは異なる仕様が採用された場合には、作業内容や同封物の変更も適宜行われる。
現場の負担増はセール前と期間中だけではない。むしろ事後のほうがより重いと言える。
それはセール用に組んだ福袋やセットなどの崩し作業と棚戻しが大波のごとく寄せてくるからだ。売り上げの達成度次第では、ばらしたセットを違う組み合わせで作り直すのだが、その流れを業務フロー化して作業手順に落とし込み、OJTでコンパクトに収めなければならない。
事前情報が早めに届けば作業量の見立てと所要時間の割り付けが前捌きできるので、大きな混乱の心配は無用となる。
しかし、往々にして売手の意思決定から実行までは朝令暮改や突発的であることが多い。
現場がその決定に異議を申し立てたり拒絶や否定から言葉を切り出すことは許されない。売りがあってこその物流現場なのだ。「どうやればできるか」を考え、その条件を企画や営業ラインと相談することが当然なのだし、四の五の言わずにやるしかないのだ。
「多少きつくても全部やり切るから、どうか売上を上げて欲しい」
これが物流現場、特に自社物流に携わる者の本音であり、事実その声を数多聴いてきた。

五輪云々を論じる陰で、世の中の事業会社の生業は粛々と営まれ続けている。
オリンピックを楽しむためにも、きちんと売ってきちんと届けることが足下にあるのだ。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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