
「正月三が日は休業」
という小売店の増加が昨年以上に目に付いた年初だった。
正月行事の風習が年々色あせてゆく傾向と矛盾している、というわけではないらしい。
人材確保を重要視する企業動向の賜物であり、そうせざるを得ない事情がある――働き手側の「休みが多い≒人を大切にする会社」という連想が企業評価向上に寄与するからだ。
かたやで無休のままクリスマスツリーを正月飾りに交換して営業する店舗もまだ多い。
「競合他社がやらないことをやる」
「競合他社とおなじく」
のいずれが正解なのかは時間の経過とともに明らかになってくるに違いない。
併せてキャッシュレス決済の標準化に抗うような「廉価販売を死守するために現金支払いを継続」としている事業者の今後も同じ観察眼で見届けることになるだろう。
物流業界のテーマは「いかに時間猶予を確保するか」であり、その達成度によって労働効率や人材確保の中身が大きく変わってくるはず――というのがかねてよりの自論である。
販売や営業の前線で顧客に合理的な説明で裏打ちされた「時間的許容」を訴求して確保できるか否かによって物流品質とコストは正比例したり反比例したりする。
にもかかわらずその点について会社事として議論しているのは圧倒的少数派のままだ。
他社の動向伺いと横並び意識による根拠なき安堵感は捨てて、顧客対面の最前線から物流現場という顧客サービスのしんがりまでを検証すれば答はすぐに視えてくるはず。
さらに言えば「顧客がほんとうに求めているのか」「時間猶予は顧客満足を下げるのか」などを精神論抜きで分析してみるべきだ。(一度もやったことがない企業多し)
経営層には年初の掛け声に続く具体策に、
「時間猶予が可能にする物流品質維持の効用」
「処理時間の延長がもたらす必要労働力の増加抑止と人材確保面での優位性」
を挙げていただきたいと切に願う。
おそらくきっとわが国の顧客実感の大勢は「そんなに急がなくても支障ない」である。
「速い/早い」に越したことはないと感じる人が多いのは当然だろう。
しかしながら一日や二日の時間差が再購買時の妨げになることは稀であると信じて疑わぬ。
仮にそうではない、、、つまり「今日買って明日届かないなら買わない」が顧客行動の常態ならば、商品性やその他サービス面での独自性や差別化はないのか?と訊いてみたくなる。
なんでもかんでも“やすいはやい”を是とするのは壁にぶつかる直前までアクセルを踏み続ける死闘に等しく、最終的には覇者ゼロの荒野となることぐらいは誰もが判っている。
縮小する国内市場に砂漠や荒地を増やすような競争は愚だ。
高度成長を終えた老成国らしいメリハリのきいた事業運営や市場環境の維持を心がけ、相応の物流作法を用意するべきだと思うが、読者諸氏のご意見はいかがだろうか。
ほんとうのことを貫くことこそ企業存続の要諦であり、その行動判断に他社動向や社内事情は無用だ。経営トップ以下が身を挺する覚悟で英断すれば事はすぐに成る。
外で稼いで内で堅実に暮らす――は、久しく言い続けているハナシのひとつだが、人口減少しつつもそれなりに老成してゆく国ではしかるべき生き方だと思っている。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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