物流よもやま話 Blog

セルフレジを利用するたびに

カテゴリ: 本質

今やレジの無人化は必達目標となりつつあるらしい。
という言葉を何度となくつぶやくようになったのは、米国の小売市況や市場参加者たちの投資主眼を知るべく情報収集することが常となってからのことだ。
わが国でも「最先端技術」「未来の店舗では」などのニュアンスのまま、来るべき明日のハナシとして取り上げられることが多いが、現段階では小売り先進国から「貴国はもはや周回遅れに近い状況なのですよ」と嘲笑されても致し方ないようだ。

米国とは比べようもないが、わが国でもいくつかの「セルフ」サービスが常用とされるようになった。その最たるものはガソリンスタンドだと思うが、セルフ=全自動ではない典型だ。
自身の生活圏ではガソリンスタンドとスーパーマーケットの「セルフ機能」が米国型省人サービスの最たるもので、広義ではC&CやBOPISなどの購入品の能動的受領もセルフにあたる。
そしてその中でも最も進化を感じるのは小売店で急増しているセルフレジだ。
セルフレジというサービス自体のあれこれよりも、設置されているレジ機器の進化について、毎度感心するのである。
特にバーコードを読み取る精度や感度についての技術進化には恐れ入る。
恐れ入って感動しつつ、「こんなにすごい機種でなくてもよいから、現場の最終チェックで使いたいなぁ」とレジ機の前でスキャンした商品を持ったまま考えを膨らましたりする。
セルフレジの係員が「お客様、何かお困りですか?」と駆け寄ってくるまでボーっと考え込んでいることも数知れず。今現在かかわっている現場の梱包ライン前にセルフレジ的な誤出荷防止関所を設けられたら、ピッキング手順の抜本的な改変が叶い、さらには――という場面に至るところで、怪訝な顔のレジ担当員の声によって現実に戻される。

ひと昔前からレジ型チェックは多用してきたが、その機器類のバーコード読み取り感度は、小売店に設置されている最新式レジに比していちいち至らない。
これほどに機器開発が進み、短サイクルで陳腐化してゆくレジ市場環境なら、前世代機や中古機が廉価販売されているのではないかと思ったりする。マテハンとしては高額で、性能的にはオーバースペックゆえに費用対効果の検証時点で現実味がない機材だったが、値段がこなれてくればハナシは別である。もし現場に導入できれば、ピッキング時の作業手順を大幅に簡略化して、梱包前の最終ラインで勝負しても支障なくなるのではないのか?などという考えが巡るのだ。むろんレジ然たるまま使用するのではなく、内外に多少の工夫を織り交ぜるつもりではある。それは以前から掲げてきた大目的である「WMSが要らない現場」実現への布石となるやもしれぬ可能性を秘めてもいる。

事業者や店舗によってかなりの差があるにしても、現在のレジ機に搭載されている読み取りセンサーの感度は素晴らしい。JANだろうが二次元だろうが、バーコードに多少しわが寄っていても、斜めになっていても、かなりの確率で一発スキャンする。最新式など無用ゆえ、型遅れの中古機が安く入手できないものかと探している。
GMSの商品マスターや販売管理システムなどに比せば、私の関与先の物流データなどたかが知れている。つまり背景で動くシステムとデータ容量については心配無用のはずで、むしろ接続時のあれこれの方が気がかりだ。もちろん餅は餅屋で買うのが無難ゆえに、未知ではあるものの、しかるべき専門会社に依頼すれば支障なく導入できるだろう。
ちなみに既存の物流現場用の各種スキャナーを無視しているわけではなく、実用に耐えるものもいくつかは採用候補に挙げてはいる。
しかしながら、毎度似たような顔ぶれのメーカーやディーラーの中から選択するばかりでは視野も視点も変わり映えしないことに危うさを感じている。
ここで書いているハナシは、業界の既成概念や自身のキャリアをいったんわきに置いて、真っ白な頭で何の予備知識も持たずに機器類を選ぶという試みである。
「知っている」「やったことがある」は全部忘れて、真摯に謙虚に情報収集したい。直截に書けば、物流業界内での流通品やシステムで完結させてきた現場改善の過去を疑っているし、実は他業界では過去となりつつあったり、陳腐化に等しい状態のモノを「最新」や「先端」としてありがたがっているのではないのか――まで考えたりもする。

レジ機をはじめとする多様多彩なスキャナーの導入によって現状以上の効果が期待できるのではないか思っている。それら機器の購買や流通状況について、読者諸氏の中に詳しい方がいらっしゃるなら、是非ご教示願いたい。システム周りの始末についても同様だ。
RFID導入までの過渡期にあたる現在、私の関与先現場での改善策案のひとつとして検討しているので、情報提供は誠にありがたい。
本気のお願いでございまする。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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