私としてはアタリマエとなって久しいことなのだが、ふと「はたして読者の皆さんはどうしているのだろうか?」と脳裏を過ったことがあるので、改めて質問いたします。
「貴方の属する物流部門では、一年間の業務総括を毎年作成していますか」
私の関与する先には必ず作成していただいている。
名称は会社それぞれでよいと思うが、中身は統括者(部門責任者もしくは管掌役員)の当年度概況と総括、自社の物流統計と業務フロー及び作業手順書・人員体制、、、
など、総ページ数は小規模事業者でも100頁超となることは当然であるし、大規模事業者ならばその数倍の情報量となること必至だと思う。
作業手順書や業務データの補足資料がページ数を食うのだが、現体制の振り返りというだけでなく、後進に「記録と記憶」を残すためにも大変重要なものである。
つまり自社の物流史にもなるし、貴重な業務資料、、、場合によっては虎の巻的参考書として後々役立つかもしれない。
さらにはそういう資料が年次作成されることで、経営層への報告会が毎年の恒例となる。
つまり普段の役員会やら経営会議の際には物流に関するハナシなど聴いているようで聴いていないエライ方々に対面で報告できる建前となる、、、全社そう運ぶとはゆかぬかもしれないが、きちんとした総括資料を無下に「要らん」とは言わぬはずだ、、、たぶん。
どこの企業でも似たりよったりだろうが、財務関連資料の読み聞きは「経営に係る最重要な数字だと承知しているがオモロクない」というのが本音、、、いったい誰のホンネじゃ?
そりゃ役員以下ほぼ全員の、であるというのはあくまで私見なので、読み流しのほどを。
百歩譲って儲かった年度の決算数字ならば「読んでもオモロクないがウレシイしホッとする」という方々が大半を占めるのは企業の常、であるというのもあくまで私見である。
「であるのに、物流業務の年度総括資料なんか、誰が読むかいな、あんた」
という声が天から降りてくる様が思い浮かぶのは私だけなのか、、、きっとそうに違いない。
物流は主業務じゃ、と大昔から言い続けて今に至るワタクシ。なのでめげずに今日も言うぞ。
物流総括資料は全社回覧のうえ既読確認のような手順をグループウエアのワークフローに、、、どうかお願いいたします。どうかなにとぞなにとぞ、、、経営者殿。
「資料作りを仕事にするのはアカン会社」
という冷笑もたまに聞こえてくるが、ぜんぜん気にしない。
販売と仕入ばかりに原資と人材と時間を偏在させてきた企業のなれの果てを、舞台袖や奈落からたくさん見てきたワタクシとしては、誰が何と言おうとも「物流白書」や「物流動態表」的な総括資料の作成と検証を必須事項として主張する。
「物流現場には本当のことしかない」
と信じているからだ。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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