物流よもやま話 Blog

ちょっとしたコツ

カテゴリ: 経営

企業物流の改善依頼は二つのパターンがその大半を占める。

ひとつは本当に問題が山積露見していて緊急手術が必要なケース。
なのに、ある程度の計画期間をかけて吟味しながら遅くとも〇年後までには、、、
去年でも一昨年でも遅すぎたのではないか?
とは言えないので、
「いやいや年内、遅くても今期の事業年度内にはやりきりましょう」
と引きつった笑顔で提案。

他方は経営者がものすごい意識の高さを述べて、物流改革を希求しているのだが、
「一体何が貴方をそこまで追い詰めているのですか?」
と尋ねたくなるようなケース。
現場を内見すると「どこがどうタイヘンなのか?」と怪訝な面持ちになることが大半。
しかも具体的な改革すべき点はトップ以下誰も説明できない。

毎度毎度のことながら、経営の意識とは厄介であるなと、つくづく思う。
傍から見れば、自分も大いなる偏狭・偏執・偏向があって、それに接した外部者は同じような感を抱いていたのだろう。
自身を棚上げや正当化するつもりは一切無いので、悪しからず認めておく。

企業経営や理念に審判を下す立場ではないと自認しているし、評論する気もさらさらない。
物流機能の具体的な現状最適を考えるだけ。それにかかわる事象を分析して論じることは多いが、物流の範疇から出ることはないし、起点を物流以外に置くことも皆無だ。
現状の分析と改善点、今後は物流が維持なのか拡張なのか、縮小なのか。
現業態にとどまるのか、新業態にシフトするのか、並立するのか、並立から移行なのか。
その企業の物流アウトラインを明瞭にし、それに応じた設計をするだけだ。

別に難しくない。
だって、同じだもの。
何を売ろうが、誰に売ろうが、国内外のどこに出荷しようが。
売り物や物量は記号と変数であって、答えを出すための式には影響しない。
なので、ヒアリングと視認で理解と確認をすれば問題は起こらない。
最重要なことは正しい式を書くこと。そしてすべてのパターンの数値を入れて試算し、出てきた答えの正誤を余すことなく丁寧に確認することだ。

それは管理者とそれに準じる社員の仕事。
つまり現場に一切の負担を求めてはならないのだと線引きしなければならない。
ルールに多少の調整があったとしても、その理由を現場に知らしめることは不要。
そんなこと知らなくても、指示通りに仕事していれば一日が終わる。
複雑で長い説明は迷惑だし、現場スタッフにとっては「何をどうすればよいのか」が唯一の知りたいことであって、それ以外は雑情報でしかない。

それでいい。
そう言えるには、ちょっとしたコツがあるだけ。

たいしたことではないのだけれど。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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