物流よもやま話 Blog

前提条件

カテゴリ: 経営

新しいパート従業員さんが入社してきて、まずは配置される作業場所はどこか。
リフトマン以外の未経験者ならピッキングゾーンだろう。
たとえ経験者であっても、自社の物流現場を理解してもらうためには、入社後しばらくはピッキング作業してもらうことがOJTとして最も有効で業務フローやルールの理解に役立つ。
梱包パターンが複数あり、入出荷数も多い現場であれば絶対にそうなる。
スットコドッコイな管理者でなければそう判断して当然。
たまーに「今日は初日なので掃除と棚整理と各所の見学で」なんていう管理者君がいる。
残念だが物流管理者としてはまだ未熟であると言わざるを得ない。

ピッキングは今日が初日のパートさんでも出来る現場である。
そうなっていないなら大問題だと断じる。
できていない企業の理由を山ほど聴いてきたが、説明自体がヘンテコリンで原因のすり替えが多い。
不可抗力やら不可避やらの結論めいた言い訳が並ぶ。
現場以前に、企業内の業務連携がアンバランスなのだと思う。
というか、ほとんどが物流部門以外の業務マターに拠るところが大きい。
だからこそ大問題なのであり、お粗末な情報共有や重篤な部門間連携不全が露見している。

では何がどう問題なのか?

それは、そんな状況を変えられない前提条件がおかしいのだ。
それを理解していない管理者が思いのほか多い。
理解しているが上申できない管理者はもっと多い。
誰に言えばよいのか?

そんなモン決まっている。

部門責任者やら役員やら社長にである。
が、雲の上の人だし、正論吐いてしゃしゃり出ようもんなら処遇に悪影響するかもしれん。
改善要求を業務怠慢みたいに受取られる可能性もあるし。
機嫌損ねたら、その場で打首になるかもしれない。
怖いし切り出しにくい。だったらこのまま我慢すればいいや。
ボランティア休日出勤やサービス残業以外にも現場で出来る工夫はまだあるかもしれないし。

全部がそうとは言い切れないが、十中八九、現場では解決できない。
なぜなら入荷段階での不備や出荷時の無理が原因だから。
入口でつまずいて出口でころぶ。
つま先立ちで前かがみのまま終日走り回って、挙句の果てに「あぁ、やってしまった」とうんざり顔で天を仰ぐ。いつもの報告書にいつもの文言を書いて、署名捺印。
顛末書、報告書、始末書。今回はどれにする?
現場管理者は純粋な意味での自責の念などずいぶん前に捨てている。思考や感情の何か所かを麻痺させなければ明日から現場を回れなくなる。
割切りと諦めを「これが当たり前。これが普通。うちの会社はこんなもん」と意訳して胸中で繰り返す毎日が続く。

こんな状況を現場努力で解決できるはずがない。
もっと川上の仕事にしなければならない。
経営層は知って知らんふり、見て見ぬふりをしているわけではない。
そんな社長や役員に会ったことは一度もない。
単純に「知らん」のだ。
いつからそんな入荷状態だったのか。
いつからそんな出荷条件を受け入れていたのか。

その始末を社員の早出と残業でやりくりし、休日出勤も珍しくなくなっている。
週6日勤務のパートさんも数人いる。
倉庫内が生活の主たる場所のような社員・パート・アルバイト。
まともな経営者なら自身の不明と怒り・憤りに心身を震わせる。
そんな労働環境の先にあるのは業務品質の劣悪化と顧客サービスの低下であり、それは企業の明日を失うことに直結するのだと知っているからだ。

現に、私が依頼を受けて、即座に経営層に実態を伝えたとする。
反応の9割は「えぇ?なんでそんなことをやっているのだ?」であり、残りは「そうなんですよ。うちの業界は遅れていて」のような比率。
前者の場合、数日後の入出荷からかなり変わり始める。
エライ人が電話したり訪問して依頼したからに他ならない。
依頼先のエライ人も「そんな現状は全く知らなかったし、依頼内容は他の取引先では当り前のこと」と回答が。
実に虚しい。
現場のボトルネックなんて一瞬で消えた。
なんだかなぁ、と天を仰ぐ。

業界事情を理由に「できない」という表現で「やらない」と逃げるのも聴き飽きた。
数日前、同じ口からよどみなく吐き出された「いかに業界の常識や慣例を変えていくか」の熱意と自信に溢れた言葉を耳にしたばかりだ。
その信念どおり徹頭徹尾やりましょうよ、社長、専務、本部長。
貴方が本気でやれば、絶対に解決できるに決まっているのだから。
今までだって各部門の様々な課題・問題・難題を解決してきたではないですか。
物流もそのモンダイの一つです。
厄介かもしれませんが必ず打開できます。
私が鞄持ちして一緒に行きますよ。
どこにでも。

著者プロフィール

主筆 T_NAG
大阪 泉州育ち。​
1988年 慶應義塾大学卒業。
しかし、ボンボンでもイケメンでもない。

失敗や挫折の数なら、世界規模の自慢大会に出ても結構いい線行くのでは?
と自画自虐しています。

映画と音楽と小説が大好き。
カメラは人生の伴侶みたいなもの。昔は車マニアでしたが、最近は楽にドライブできることが最重要。なので、燃費と快適性が車選びの基本に。

泥臭い努力型の典型なので、弁舌鋭いキレキレな遣り取り、とかは無理です。

【仕事の自慢】
「取引する企業は必ず業績が良くなる」
​何にも替えがたい喜びです。

【好きな言葉】
「粗にして野だが卑ではない」
​絶対に曲げることのない信条です。

最近の記事

アーカイブ

カテゴリ

お問い合わせ Contact

ご相談・ご質問等ございましたら、
お気軽にお問い合わせください。

072-979-7400

営業時間 平日 9:00 - 18:00

お問い合わせフォーム