オリンピック・パラリンピックが閉幕し、テレビもネットも数か月前の様相に戻ったようだ。
従来通りのお粗末さよろしく、コロナ禍と与党の総裁選と天気予報ぐらいしか報道のネタがないらしい。今や論う気にすらなれない既存の大手メディアとそれにかかわるジャーナリストや評論家の均一化や単眼化がより顕著であまりにも赤裸々すぎて視聴に耐えない。
新型コロナウイルスにまつわる、ふたつの「イギ」についてのハナシが多い。
計画や実行の明細についての意義や、止める・止めない、改める・維持する、などの異議を論じる際に、ハナシの基点と起点というふたつの「キテン」の存在によって主眼要点が異なることはあたりまえだ。しかしながら、ディベート下手な政治家や評論家が多いせいか、テーブルの上が散らかるばかりで、なかなかまとまらない。
カレンダーの巡り合わせで、本年最後の掲載はクリスマスとなった。
全世界がほぼ一年間、疫災と呼ぶにふさわしい視えない被害に見舞われた2020年。
毎年欠かすことなくにぎやかに華やかに街が彩られ、音楽が流れて、人々の笑顔や歓談で往来の空気は弾むようにふくらむ――昨日から今日にかけてのそんな風物も、控えたり取りやめたりの連鎖で消沈している様子が痛々しく憂うつ極まりない。
早くも5月である。
そして緊急事態宣言下の動いてはいけないGWである。
冗談ではなく、このまま笑ってはいけない年末に至ることがないように祈る。
「休め・自宅で」「働け・自宅で」一辺倒のまま長期化すると辛い。人によっては心身に変調をきたしかねない。
理解協力と自己管理といえば文字面だけは整って読めるが、つまりは行動の責任と判断を個人に丸投げして疫病対策の肝としているのだろう。
ついに緊急事態宣言が発令された。
物資の循環を担う物流業界は難しい対応を余儀なくされている。
さまざまな「止める」と「動かす」の葛藤が続く。
一部大企業では、感染者判明と同時に出勤停止のうえ庫内消毒による保健所確認で事業継続可能だが、中小企業の自社倉庫や物流関連企業では必ずしも万全の措置が施せるわけではない。
今まであえて触れないようにしてきたが、やはり一度は書いておきたい。
自身を奮い立たせる意も含んでの本稿だと察していただければ幸いだ。
パンデミック。視えない出口。消沈と閉塞感の蔓延。
世界中の人々が同時に見舞われる災いの到来は人生で初めての体験。
不透明な明日への不安や漂流状態の浮遊感が、会話を途切れさせ行動を委縮させる。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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