物流よもやま話 Blog

ルーティンとモチベーション

カテゴリ: 信条

早くも5月である。
そして緊急事態宣言下の動いてはいけないGWである。
冗談ではなく、このまま笑ってはいけない年末に至ることがないように祈る。
「休め・自宅で」「働け・自宅で」一辺倒のまま長期化すると辛い。人によっては心身に変調をきたしかねない。
理解協力と自己管理といえば文字面だけは整って読めるが、つまりは行動の責任と判断を個人に丸投げして疫病対策の肝としているのだろう。

言うまでもないが、火急のワクチン開発と既存薬剤の転用対処を拡大させることが国の進めるべき第一だ。あらゆる点で「具体的」だし、格差や不公平などの烏合議論とは対極にあって明快な効果と結果が期待できる。

不眠不休で開発や研究に身を投じている専門家諸氏がいることは承知している。
臨床の現場同様に、開発や試験の密室にひきこもり、数億の人命にかかわる責務を背負いながらの渾身の毎日。
そのような方々への感謝と称賛だけでなく、手がける内容の進捗を支障ない範囲で公開してほしいと感じている。地上波に限らずあらゆるメディアで公開されるべきだ。
「効く薬」の頒布こそが疫病への最善の対処になるのだと判じている。その最善が到来するまでの日数と進捗の明示こそが、パニックや不安心理を和らげる有効策だと考えている。
まさに「復活の日」を掲げての我慢制限なら、人々は辛酸をなめつつ甘んじて従えるはずだ。

 

なんていう世情など一切おかまいなしに、やはり今年も春はとても短く、桜の満開直後だというのにいきなり夏日になりそうな気配の各地。
薫風心地よくのはずが、爽やかさに欠ける温風と強い陽射。お肌によろしくない紫外線がコロナウィルス撃退に有効ならよいのに。
そんなことを想いつつサングラスごしに鯉のぼりを眺めながら、柏餅を冷たいお茶で召し上がっている方も多いのではないだろうか。

とにもかくにも季節は巡る。
とにもかくにも梅雨がやってきて、猛暑の夏がやってきて、台風もやってくるだろう。
コロナウィルス防除だけでなく、豪雨や暴風や酷暑への備えも忘れてはならない。

自宅ひきこもり奨励という軟禁状態の気分転換というかやけくそ気味というか、毎度の好き勝手コジツケハナシを書いてウサバラシにしている、わけではない。
淡々と週次のルーティンを続けるモチベーションがなくなってしまったのでは?
というのは掲題の深読みが過ぎますよ、とあらかじめお断りしておく。

物流現場における毎日の作業とその目的・成果としての顧客満足。
しかしながら実際にはいつもそんなことを考えているわけではないはずだ。
場合によっては逆転していることもあるかもしれない。
たとえば、毎日仕事に行くのはルーティンの最たるものだ。多くは決まった時間に起床し、決まった時間の電車やバスに乗るか、車を運転して会社へ向かう。
ひとえに「生活のため」である。
「仕事のやりがい」も並立する「理由」や「動機」となるだろう。

しかしはたしていつもそうなのだろうか?
人間が習慣の動物であるなら、毎日のルーティンは本能的に行われているのではないか?
という疑念が浮かんだ。
次にそれを維持するために理由や動機付けを喚起しては反芻しているのではないか?
なんていうパチモンの哲学者みたいなことをトイレの際に考えていた。
まったく無意識に起床し、同じく通勤し、多少の変化や異常があろうとも同じように仕事をこなし、なんとなく呑みに行って、疑いなく帰宅し、やはり今夜も床に就く。
実はそこに厳然たる理由や動機は存在しない。

なぜこんなことを書くかといえば、現場でのOJTの置き換え説明にピッタリだからだ。
と、ここからコジツケ開始である。

私の設計する業務フローを支えるOJTでは、作業者に「理由」や「動機」の理解や考察を求めない。というより排除している。(もちろん着手前に関係者への趣旨説明と同意を得ている)
「なぜそうするのか」や「なぜそうしてはいけないのか」、「そうしたらどんなよいことがあるのか」や「そうしなければどんなわるいことがあるのか」などは一切説明しないし、原則として個別・適宜の質問も受け付けない。
それは「なぜ、あいうえお、なのか」や「なぜ、ABCDE、なのか」や「なぜ赤信号では止まるのか」や「なぜ声を出してあいさつしなければならないのか」のような質問と回答が無駄であることと同様だ。しつけやルールの順守に説明は不要。中途半端な丁寧さや勘違いでしかないおもいやりに似て非なるモノは、世間や利害関係者の迷惑につながる。

全員が無意識や反射的に行う言動には、一切の躊躇や猜疑を抱かしてはならない。
こう書くと「ファシズム反対!」「洗脳統制排除!」と批判の声が上がりそうだが、拙文の骨意はまったく異質の目的地に向かうので、しばしこのままお読みいただきたい。

朝出社して「おはようございます」と声を出すことに理由は不要だし、赤信号のたびに「なぜ止まるのか?」と考えてしまい、ブレーキを踏むことに逡巡するのは危険だ。
あいうえお、ABCDEは記述や会話の道具であり、文字単体には何の生産性や独自価値もない。
交通にとどまらず、世の中に存在する規制や規約や規則には、従い守らなければならない。
それ自体を改廃するのは行政や立法に携わる者の責務であり、選挙や世論で執行者を選択することが生活者に認められている権利だ。したがって目前の現行状態は、不本意でも違和感を感じようとも受け入れ従わなければならないのだ。挨拶の相手が尊敬できぬ上司であろうと、目前の赤信号が見渡す限り人っ子一人いないような田舎道の交差点であろうと。

挨拶にしても、その時々の感情や心情の反映を問われているのではない。
「心から」であろうと「上っ面」であろうと、挨拶すること自体に意味があるわけで、その動機や目的を問うのは個別に行えばよい。
どうしても「挨拶の質」を〇×評価したいなら、気の済むまで吟味すればよいだけだ。
個ではなく全に等しく求められるのは「かたち」であって、それ以外は論じてもむなしい。「大きな声で元気よくはきはきとしたおはようございます」を発する者のその時の心情や対象への感情が、一切干渉することなく行われるのが正しい挨拶の「かたち」であり、物流現場ではそれで及第であると考えている。

少なくとも、今までの経験では結果として従業員と管理者と顧客が報われ、企業経営への寄与という着地に至ることを実証してきた。成功体験などと自画自賛したり、依存する気は毛頭ないが、手法として有効が実証されているので、現在は採用している。

現場での作業も同様であると考えている。
作業者はOJTどおりに黙々と業務をこなせば、一日がつつがなく終わる。
ルールどおりに、真面目に働いていれば、求められている成果は必ず出る。
もしそうならないのであれば、それは本人の責任ではない。業務フローに欠陥があるか、もしくはそれを実運用するOJTが不完全なのか、そもそもの処理時間の設定が不適合であるのか。
いずれにしても、OJT内容を一切違えずに作業した本人にはまったく落ち度はないはずだ。
その際に、作業者本人のOJTや管理者に対する評価や感情は斟酌無用だ。
現場に求められているのは「相互理解」や「良好な人間関係の構築と維持」ではない。
業務の正しいかたちを正しい時間で正しく終えることが満たされれば必要十分だ。

それぞれの立場にはそれなりの責任が伴っている。
現場作業者の責任とは、
「言われたことを言われたまま、わき目もふらず実直にこなす」ことだ。
現場管理者の責任とは、
「業務フローから練りだされたOJTを、全作業者に徹底し、作業工数と所要時間の目論見に誤差が出ないように完結させる」ことだ。
現場責任者の責任とは、
「現場管理者の人選とOJT手法の教育と理解度の確認、管理者としての能力向上をはかる」ことであり、全体調和や収支管理、採用・労務管理、他部署との折衝や連携状態の監視と改善、設備維持の基本事項を巡回確認、掲示物や什器備品の状態確認、物流技術の情報収集と吟味、災害対策の事前確認と予行演習の実施、、、長くなるので割愛。

物流業務ではそれぞれが自らの役割をルーティン化して日々向き合うことが大原則である。
作業や事務処理の現場にモチベーションの確認は無用で不要だ。
スポーツ選手やアーティストが競技や創作の最中に「無」の状態を目指すように、物流現場の実務には、ルーティンを無心でこなすことのみが求められる。
徹底的に練り込まれ研ぎすまされた業務フローとOJTプランがそれを支える根拠となる。
モチベーションはルーティンの母であるが、普段はめったに口出ししたり、その存在を顕示したりはしない。
決まり切った毎日や行動に疑問や迷いが生じたときに、ふと思い出したり胸中を巡ったりするものでしかない。
だからといって軽んじたり忘れたりすることはないし、もしそんな兆しがあるなら、混迷や低迷への始まりとなるかもしれない。

この母にしてこの子あり。
ルーティンとモチベーションをつなぐには、そんな言葉がふさわしい。

著者プロフィール

主筆 T_NAG
大阪 泉州育ち。​
1988年 慶應義塾大学卒業。
しかし、ボンボンでもイケメンでもない。

失敗や挫折の数なら、世界規模の自慢大会に出ても結構いい線行くのでは?
と自画自虐しています。

映画と音楽と小説が大好き。
カメラは人生の伴侶みたいなもの。昔は車マニアでしたが、最近は楽にドライブできることが最重要。なので、燃費と快適性が車選びの基本に。

泥臭い努力型の典型なので、弁舌鋭いキレキレな遣り取り、とかは無理です。

【仕事の自慢】
「取引する企業は必ず業績が良くなる」
​何にも替えがたい喜びです。

【好きな言葉】
「粗にして野だが卑ではない」
​絶対に曲げることのない信条です。

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