物流よもやま話 Blog

クリスマスケーキと餅代

カテゴリ: 余談

このところやたら温いので、来る寒気への気合十分な心構えが肩透かし状態になっている。
と思ったら、来週からはいきなりの大寒気到来。近畿北部では積雪になりそうなのだとか。
昨年のような短時間局所ドカ雪による交通・物流マヒは勘弁願いたいが、白銀で飾られた日本海沿岸の雪景色を眺めながらのドライブは大いなる愉しみでもある。
やっと冬らしくなるようなので、内心喜んでいる今日この頃なのだ。

もはや大昔のハナシになるが、昭和の中期頃までクリスマスケーキを従業員に支給する中小零細企業や商店は珍しくなかったし、仕事納めの日には餅代と記された寸志が手渡された。
もちろん皆が皆ということでもなかったのだろうが、各事業者はそれなりの心付けを用意して従業員とその家族を労い、納と始の日には振る舞い酒で働きの終始を緩やかに収めた。
今となっては「労いの言葉に相応しい報酬反映を」「モノではなく現金にすべき」「慰労会や宴会は業務ですか?」などと詰問されそうでもあり、書いていて居心地が悪い。
ひょっとしたら同感ながらも「今や昔話でしかないなぁ」と寒々しいやら寂しいやらの微妙で寄る辺ない感情を抱いている読者諸氏もいらっしゃるかもしれない。

文句を言っているのではなく、回顧しているだけだ。齢をとると昔話のほとんどが美談になりがちなのは心得ているし、その時代に劣悪この上なかった労働者の権利や扱いを失念しているわけでもない。昔と今を比べて優劣を判じようというわけでもない。
何を隠そう自分自身の生家でも、まさにケーキや餅代、正月にはお年玉などを従業員さんに渡していたことをふと思い出したので、ちょっと書いてみたくなっただけだ。

そういえば、年々減るいっぽうなモノに、企業の名入りカレンダー配布がある。
わが家でも卓上タイプのカレンダーには全部企業名が印刷されている。「貰いモンでセコク済ませずとも、カレンダーぐらい買えばよいではないか」と自分に突っ込むこと数知れず。
言い訳めいて不本意ながら、暮れの風物として取引先から持参される次年のカレンダーには微かな期待感を伴って、なんとなく心惹かれるのだ。

人によっては長年決まった会社の決まった規格のカレンダーを自宅やオフィスの机上で使っているらしい。なのでそれが別物に変更されたり、廃止されたりするのはタイヘン困るのだ、というハナシもちょいちょい耳にする。手帳やメモ帳、クリアファイル、ボールペン、紅白まんじゅうやら日持ちする菓子類なども年末恒例の頂き物だったのではないだろうか。
そういう大いなる無駄や虚礼ながらも定番化してしまった決まりごとに費やされるお金が回り巡ることによって、視えない潤滑油的な役目を担っていたのかもしれない。

というとりとめないハナシを書いている暮れの某日たる今。
夜半の大雨がやや残る早朝は曇天で薄暗く、異様に気温が高い。
冬の風情ゼロはちょっと寂しいが、これも気候変動の影響なのだろう。もう異常という表現にも飽きてきたし、これだけイロイロ続くと異常ではなく未知と表した方が妥当だ。
未体験や察知予測できないことを異常とすり替えるのは滑稽な喜劇のようで、居残るのはもの哀しい後味だけだ。来年は「異常気象という言い回し禁止」を心がけたい
さらには「異常物流」や「異常ミス」で済ませるような素人くさい物言いも厳禁。
などと書くまでもないか。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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