物流よもやま話 Blog

入口と出口

カテゴリ: 余談

物流改善の入口と出口。

入口が多くて3。(5と言ってきたが、近年減ってきた)
出口は2。
これが経験上の実感。

事業者側の説明は十人十色。業界云々が加わると会社の数だけ入口があるように聞こえる。
入口とは現状のパターン。
業界・業態によって違いがあるように捉えがちだが、実はたいして変わらない。
内製・委託の別で初動に順番の並べ替えがあるだけで、冷静に整理すれば正しく分類できる。

出口とは改善結果のことであるが、これはふたつしかない。
100点と0点である。前職では絶対に言えないことであった。

この場合、満点とは物流機能の各要素とコストがその企業なりのベストジャッジでありベストパフォーマンスであると経営及び請負側が実感合意できる場合。
絶対的完璧など神仏でもわからないから、当事者が設定した目標や状態への到達度で測るしかない。
では0点の場合とは?(廉かろう悪かろうの物流業者は論外なので、このハナシからは除外)
品質過多で現場やコスト負担する経営が背伸びしている状態で完結してしまうケース、もしくは更なる高品質や低コストを実現できるのに、その余白を経営が気づかずに納得してしまうケース、がこれにあたる。
平たく言えば、過分か不足が修正されないまま、身の丈にあっていない装備や仕組を「物流改善」「物流品質の向上」という大儀のもとで強引にはめ込んでしまうこと。
内容そのものに瑕疵がないため誰も批判や反論ができない。不良品ではないが、そもそもが体に合っていない洋服に例えればわかりよいかもしれない。

ざっくりだが、満点が2割、零点は8割。圧倒的に差がある。
その理由は簡単。
提案者側がどの企業に対しても決まりきった方法でしか対処できないからだ。
相手が誰であろうと毎度おなじみの手前味噌を並べては強引に食わせてしまう。
したがって、高確率で帯に短かったりタスキに長かったりする。
意外かもしれないが、帯やタスキの相手方は、漠然とした違和感を抱けばいいほうで、ほとんどの場合「こんなもの」とやり過ごしてしまう。
過不足なくピタッとはまるのは2割弱の偶然と幸運にめぐまれた場合のみなのだ。

手前味噌つながりで恐縮だが、前職時代にはよく新規顧客の見積時に、

「将来どんな業態や規模をお考えなのかによって提案内容は変わります。
たとえていえば、虎と猫は生まれて暫くはその区別がよくわかりません。しかし時間とともにその違いは瞭かになってきます。
御社は虎であると信じております。
現在の構えとしては必要最低限の設えで走り、業容拡大にあわせて拡張できる基本的な仕組をご提案したいと考えております」

などのような切り口上を多用していた記憶がある。

営業の口が吐いた言葉なので、美辞も麗句も含まれている。
しかし、今となっても「まぁ、間違っていないし悪くないな」と思う。
実際に0点がいくつあったかは墓まで持ってゆく所存である。

これを読んだ前職時の取引先は苦笑いしてこう言いそうだ。

「いやぁ、必要最低限のわりには、結構高かったでぇ」

会社で口あけて待っている人がたくさんいたのです。
その声が背中にへばりついて、ともかくヒッシのパッチで。

でも、ご契約頂きましたよね、社長の皆さん。
ほんとうにありがとうございました。

立場の変わった今なら、、、
タラレバはいけませんねぇ。
失礼しました。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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