物流よもやま話 Blog

資 材

カテゴリ: 余談

資材のことが頭に浮かんだので、忘れないうちに書いておく。
ここでいう資材とは物流現場にあるそれであって、その他業務に必要なものは含まれない。

あまり意識しないところかもしれないが、梱包資材はかなり成熟した分野。
物流屋が言う「資材屋さん」は現場対応型の営業を主としていて、規格や強度、ロットについて素晴らしいレスポンスで提案と見積を揃えてくる。
恐らくだが、依頼された案件の答を考えてきたわけではなく、知っているのだと思う。
つまりは殆どの場合、社内の過去納品履歴を探せば、ほぼ見合うものがあるのだろう。

運賃と保管料と資材費。
この三つほど顧客と議論したくない項目はない。
と、前職時代には思っていた。
運賃と資材は同じ理由だった。
需要者より供給者の側が強いからである。
個配運送については、3人のガリバー達が寡占している。
「嫌なら他にどうぞ」という匕首を懐から覗かせつつ、作り笑いで交渉する相手に何を言ってもむなしい。

では資材はどうなのか。全く違う理由でやはりむなしい。
紙は国策であり、その市場規模は莫大。製紙もやはり寡占。
その下に系列の一次、二次の問屋。さらに枝分かれして、最終的に一般小売会社。
つまり完全に市場の仕組が出来上がっており、ある物流会社や事業会社が競合より有利で気の利いた資材を調達しようとしても無駄なのだ。せいぜい工夫ぐらいが関の山だが、その画期的だと自賛している工夫も、すぐにどこかの会社が同じような資材を使い出す。
腰は低いが頭が高い営業の典型である、、、決して嫌いではないが。

何よりも資材の単価には拘るくせに、箱だけで15種類。全部名入れ。
袋が3種類。全部名入れ。
ガムテープも3種類。全部名入れ。
ラッピング資材は60種類。リボンや淡色の不織布や白基調のペーパー。裸で棚保管すれば、一年足らずでゴミになる。
なので60種類の綺麗な飾り物を全部箱入れやら紙で巻いて、梱包指示に「ラッピングー27番」とあるたびに、必要な資材をそーっと取り出し、また蓋をしたり保管紙で丁寧に包んで、、、

出荷データを分析すれば、資材の種類なんて激減するに決まっている。
何でもかんでも名入れしない。
経済ロットで表面的な発注単価は満足したが、2年後に半分以上廃棄。
自社物流なら例外なく当てはまる事例であり、実際に目の当たりにしたこと数知れず。
物流専業者ならあり得ない仕様の印刷や強度やサイズバリエーションの豪華で贅沢な資材が、死骸となって倉庫の奥で遺体安置用のビニールシートを掛けられて永眠している。
納品されたまま未開梱の状態で横たわっている姿はもの悲しくむなしい。

ということは結構ありますよ、皆さん。

まぁ、過剰在庫、滞留在庫の怖さに比べれば、たいしたことではありませんが。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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