物流よもやま話 Blog

こまどり姉妹と島倉千代子

カテゴリ: 余談

掲題を目にして「そう並べたら島木譲二」と即答した御仁は、おそらくきっと私と同世代に近い吉本新喜劇を観て育った方に違いない。
この数か月間、内心のつぶやきの二大セリフは「こまったこまった」「しまったしまった」となっている。あまり有名ではないが「まいったまいった、マイケル・ジャクソン」、、、も近況を言い表すにふさわしい文句なのだ。

次から次にややこしいことや厄介事が続出するので、もはやバテ気味となっている。
「これでは移転に失敗した荷主の庫内業務のようではないか」
などとブツブツ言いながら、苦手だろうが嫌いだろうが、生きてゆくためにはこなさざるを得ない諸手続きに追われている次第だ。
ひとたびねじれや食い違いが発生すると、それが二次、三次障害といった副次的混乱を招く羽目になるのは倉庫内に限ったことではなく普遍的なハナシなのだと思い知らされている。
と、呑気に感想を書いている場合ではない。
何を隠そう、混乱や障害の渦中にあるのは自分自身なのだ。

そういえば、ひと昔前には仕事で「やらかした」ことが大小含めていくつかあった。
何をやらかしたのか?
たとえば、新規荷主の入庫時に「想定外のトラブル」が発生し、翌日から予定していた通常業務の再開が危ぶまれる事態を招いたり、想定していた業務フローどおりに運ばない――などが思い出される。
読者諸氏ご承知のとおり、「想定外」「思わぬ」などの言葉を冠するトラブルやアクシデントは、単なる人災であることがほとんどだ。
ヒアリング不足、想像力不足、経験不足、謙虚・真摯欠如、自信過剰、横着不遜、、、などが原因のほぼすべてといって過言ではない。
「ガリ勉の70点」みたいなもので、本人なりに一生懸命やっているのだが、努力するポイントや方法がずれているため、的のない方向に矢を放ち続けたり、ボールのないドライビングモールを必死で動かしていたり、、、のような様相となっているのだが、外側から自分を観れないがゆえにいつまでたっても気付くことはない。

初心者マークの物流人が陥るトラブルの最右翼にあるのは、物量の把握の甘さだ。
データから机上計算して、図面等に落とし込んで「支障ない」としていた移転や拠点集約作業の当日、現実の物量に圧倒されて、事前作成した計画表や工程表がまったく機能しない。
つまり目論見がことごとくズレて、作業開始直後から時間割が破綻。否応なく現場任せのマンパワーむき出しのやっつけ作業が連続し、修羅場鉄火場に、、、などはその典型だ。
倉庫移転の際の要注意トラブルとして周知されているが、本質的に似たような状況は「大量の品質検品」の現場でも起こる。
品質不適合もしくは不備によって出荷前検品もしくは返品再検査となったいわくつきの物品の検品業務を、安直で甘い仕様の品質基準表による作業者任せの目検・触検に終始すれば、その先にあるのはバラツキや見落としなどの「検品不備」しかない。
当初「なんとかお願いします」と懇願されて、請け負った際には感謝された仕事が、一転して「こんな検品品質では再納品できない」「納期に間に合わない」「どう責任をとるのか」などの大クレームへと変転してしまう。
自らの経験でもあるし、他社の事例として見聞きした事例としてもいくつか思い浮かぶ。
「物量を甘く見てはいけないよ」というベテランの言葉は、今も心に刻まれて褪せることはない。デジタル化や自動化の風潮が強まる中にあっても、現場での基本的な準備や行動は愚直に徹底し続けるべきなのだと思う次第だ。

なんてことをしたり顔よろしく書いているが、私の生活環境は今も混乱の最中で、打開にあたっては「人力や気力頼り」といった現場では禁忌とされていることに終始しているのだ。
パチパチパンチしつつ雄叫びをあげても事態は変わらぬ。
思わずポコポコヘッドしたくなるが、アルミの灰皿がないのだ。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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