物流よもやま話 Blog

物流業務の支配者

カテゴリ: 本質

簡素で直線的な物流業務が理想であるし、そうでなければいけない。
ではその基になるものは何か?

商品マスターである。
マスターの設計と整備で全ては決まるといって過言ではない。
物流現場でのさまざまな現象は、あくまで結果であり、そこに原因はない。
その原因の根源になっているものは「商品マスター」であることが多い。
マスター作成が不首尾だという段階で、すでに現場の混乱の種がまかれている。

物流現場では入荷も出荷も在庫管理も商品マスターが支配している。
やっかいなことに、商品マスターは偉そうにふんぞり返って現場を支配するのではなく、目立たぬままひっそりこっそり業務の根元に癒着して抜き差しならない状態で居座っている。
保護色のように現場と一体化しているので、誰ひとりとしてそれが影の支配者だとか諸悪の根源だとは思わない。
地味で真面目な何の変哲もない数字や記号の羅列に過ぎないと思い込んでいるし、それは電柱や横断歩道や信号機や郵便ポストなどのように「あたりまえにあるもの」としてスタッフの視覚に定着している。
推理小説やドラマでありがちな真の犯人の風体や立場に似ている。
唯一違うのは、物語がどこまで進んでも「お前が犯人だ!」と名指しする金田一やホームズや任三郎は現れない。個人的には銭形のとっつあんに追いかけてもらいたいが、それだと結局は逮捕できないので、この案は没にするしかないようだ。

たとえば、貴社には以下のような単語が重複して多数存在しないだろうか?

自社品番
自社商品名
メーカー品番
メーカー商品名
システム上の登録品番
システムに取込むためだけに存在する紐付けコード
メーカーJAN
自社JAN
メーカー・コード
自社コード
マスター登録外品番
マスター登録外コード
品番なし商品
全コード・品番登録なし商品。

いったいどれがキー・コードなのだろうか?
わけがわからない。
マスターなんか無いに等しい。

こんな状態が数多の企業内にある。

誰か机をたたいて「おかしい!」と言ってほしい。

最新の庫内システムも受注管理ソフトも端々までは役に立たない。
基本コード以外はすべてアナログ処理。作業も別ライン。
分類コードも全部同じ。よくあるのは「999」とか「9999」みたいなやつ。
マスター登録できないわけではないが、誰もしようとしない。

現場事務所でエクセル作表して、標準のピッキングリスト・納品書とは別にマスター外コード用の手作り書類で作業。送り状は手書き。
梱包前のエラー・チェックはパートさんが手数えやら目視やら。
その上、口数削減のため、配送先によっては、通常梱包物とアナログで読み合わせしながら名寄せして同梱。
これに入荷商材待ちの取置分やらが絡んでくると、もうバタバタの連続になる。
テレコ、口割れ、同梱違い、同梱忘れ、、、
「もしも納品伝票に下代が記入されていたら」
ぞっとする惨状のテレコ出荷の結果がもたらす顧客クレームの大きさは想像したくない。
なので現場は懸命にミスの防止を水際で止めようとする。
無理の連続のしわ寄せは、アクロバティックな現場業務に。
綱渡りだけでなく、綱の上で飛んだり、走ったり、お手玉を三つ四つまわしたり。
そんな曲芸まがいの役回りはいつも現場の役職のない社員やパートさんに。
いつ大事故が起きる?
へたすりゃ大怪我では済まぬ。

こういう現場は少なくないし、でくわすたびに「よく毎日やってんなぁ」と眉間にしわを寄せつつ内心でため息まじりにつぶやく。
現場の面々たちも最初は怖かったんだろうけど、今や慣れてしまったのだろう。
というか諦めてしまわないと精神衛生上よくない。

そういうのはサーカスだけでいい。

傍から眺めているだけで冷汗が滲む。

「商品マスターの不備」
というたかが文字列の不出来でたくさんの人間が無用な汗とストレスを抱えている。

極論?

反論する前に自社の現場でヒアリングしてみるべきです。
できればヒアリングだけでなく、実際にデータをソートし、業務フローも確認して欲しい。
だれがするのか?
エライほど適任、と断言いたします。

著者プロフィール

主筆 T_NAG
大阪 泉州育ち。​
1988年 慶應義塾大学卒業。
しかし、ボンボンでもイケメンでもない。

失敗や挫折の数なら、世界規模の自慢大会に出ても結構いい線行くのでは?
と自画自虐しています。

映画と音楽と小説が大好き。
カメラは人生の伴侶みたいなもの。昔は車マニアでしたが、最近は楽にドライブできることが最重要。なので、燃費と快適性が車選びの基本に。

泥臭い努力型の典型なので、弁舌鋭いキレキレな遣り取り、とかは無理です。

【仕事の自慢】
「取引する企業は必ず業績が良くなる」
​何にも替えがたい喜びです。

【好きな言葉】
「粗にして野だが卑ではない」
​絶対に曲げることのない信条です。

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