物流よもやま話 Blog

物流って・・・

カテゴリ: 本質

物流ってそんなにむずかしいのだろうか?
いったい何をむずかしいと感じているのだろうか?

入荷と保管と出荷と配送しか要素がない。
しかし数多の会社が複雑怪奇なエラーやトラブルを抱えている。
なぜなのか?
どこでどうなってそんな状況に陥っているのだろう?
業界の事情や営業上のしがらみは理解している。
が、それはすべての企業に共通しているし、よく聴いてみると深刻でも難解でもない。

惰性や妥協や慣例。
業務内容やその品質を長年の間、疑うことなく自己完結している。
社内事情。
思考の硬直。
現場と管理部門の情報断絶。
士気の低さ。
仕組みを疑わず、日々出たとこ勝負。

上半身は素晴らしいのに下半身はいつも青息吐息。
経営は上半身主導で、下半身はそれに応じて自然成長する付属機能。できないほうがおかしい――という思い込みや、現状から眼を逸らした逃避、先送り、無関心。
現場の汗は理解しているし感謝している――という免罪符のような言葉。
作業に肉体的な負荷や苦労はあって当然――とは言わずに労いの言葉でその場をやり過ごす。

物流部門への異動は左遷?
「物流に行って、基本からやり直してこい」
という上司は物流現場など全く知らない。
会社業務の基本は物流部門に所属すれば体得できるという意なのか?
ならばその上司はどうやって「基本」を身につけたのだろうか。
物流未経験者たちが物流戦略を決定する。
ほとんどの企業では経営層への登山道に物流部門経由のルートはない。

物流の機能強化を経営戦略に掲げ、人材投入・養成できる会社はエクセレントカンパニーとしての条件を一つ増やしていると信じる。
例えば「ジャパネットたかた」のように。
現社長の経歴は素晴らしい。世襲は人選の結果でしかないはず。
聞きかじりではあるが、当然の人事であったと感じている。
何よりも創業者である先代は血縁にこだわるような経営者ではなかったし、後継者を選ぶ過程で最後に残ったのがたまたま御子息だったと思っている。
こんな会社が増えると楽しい。
長崎・佐世保の丘上に本拠を構えるジャパネットたかたの前で車を停めて、広大な敷地に建つ社屋を眺めた過去を想い出しながら書いている。
地元の雇用を支えている点でも最大の賛辞をおくる。

多くの企業にありがちな「物流業務の常識」という非常識としか評価できない思い込み。
物流機器、什器、体裁の良い画面が連続する高額なWMS。
それを支配する本社の基幹システム。
作業員はマテハンや業務管理システムに翻弄され、違和感を口に出すことなく黙々と働く。
最新の何々。
効率的な何々。
経理、財務、仕入、在庫、受注から出荷までを一元管理し、企業内のモノと資金の流れにかかわる一連の業務を可視化。

そんなことが支障なく実現できている仕組みなど一度も目にしたことがない。
しかも3000万円以上かかったって、、、

泣けてくる。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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