物流よもやま話 Blog

ローカル・ロジスティクス【序】

カテゴリ: 経営

ローカル・ロジスティクス。
それは「地域物流」「現地物流」という意からさらに掘り下げて、「生活総合物流」または「自治体物流」という補足説明を追加したほうが適当だと考えている。
またまたヘンテコリンな造語を言い出したと呆れられそうだが、前々から主張してきた内容の続編だと思ってお読みいただければ幸いだ。
ライフワークともいえる地方自治体の物流インフラ整備とその効用については、手を変え品を変えながら提案や説明を続けてゆきたいと思っている。

生活配送どうでしょう?地方自治体殿

人口密集の巨大消費地から距離のある地方自治体には、今後ますます存続をかけての運営が喫緊の課題として見舞うことが珍しくなくなるだろう。
それらの自治体運営に、物流という切り口から実現できそうな企画の素案や素材を提供することで、各地域の行政や公共の事業に携わる方々の一助となれば幸甚この上ないし、さらには民間事業者の積極的な取り組みの呼び水になれば満願である。
物流機能を公共サービスや住民福祉の基礎インフラに据えることは、今後の自治体運営上たいへん好ましいのではないかと考えている。
過去記事と重複する内容もあるが、重要事項ゆえに今一度書き下ろしてみたい。

地方自治体の最大の課題。
それは「財源の確保」にほかならない。
企業運営に収益が必要なように、地方自治体にもそのまま当てはまる現実だ。
「そんなあたりまえのこと、今さら論じるまでもない」と訳知り顔で言えない状況が近年差し迫ってきている。
あたりまえなのは「傾向」であって、肝心の「対策」のほうは一向に固まらないし、あるにはあるが、べたべたと手あかのついた事業企画は何度読み返しても実効性に欠ける。
当事者である市区町村の運営者諸氏なら頷けるところかと思う。

ひらたく言えば金が足らぬ。
そして国はもはや都道府県や市区町村の面倒をみない。
ゆえに今までのような歳入確保が難しくなる。
つまり自給自足の要が否応なしに差し迫っている。
だから自治体自らが収益を確保するための事業を行う必要がある。

という前提条件でこの後の記述は続く。
決して珍しい事例でも極論でもないことを言い添えておくほうがよいだろう。
諦めて悲観に暮れるなどどこかに放り投げて、自治体事業が奏功して、みんなで大喜びしている場面を想像しつつお読みいただければ幸いだ。
「まぁ、ヒッシのパッチでやったらなんとかなるで」
とつぶやきながら書いてみたいと思う。

足らん金を増やすために増税したり赤字国債発行、は国の得意技だが、地方自治体では到底無理というものだ。
「打ち出の小づちも金の生る木もない」
そんな施政者をはじめとする行政関係者の声が聞こえてきそうだが、俯いて同調しても仕方ないことは誰もが心得ている。
自分たちのことは自分たちで何とかするしかない。
そのとおりだし、そうあってほしいと願う。

自治体の収益事業には物流が馴染みよい。
何がどう「なじむ」のかを改めて書いてみたいと思う。
自治体と物流について興味がある諸氏だけでなく、今まで意識していなかった方々、都心部での暮らししか知らず、地方部の実情や苦境を対岸の火事としか感じてこなかった方々にも読んでいただきたい。
地方部で「質実という豊さ」を実感しながら暮らせる理由のひとつ。
そんな内容の提案となるよう、心がけて書いてみたい。

ローカル・ロジスティクスは以下の人口状況の地域において二つの目的から構成される。

(状況) 高齢化かつ常住人口減少の傾向著しく、通学以外の流出人口が多く流入人口は少ない
目的1:生活物資の自治体単位での確保と手段
目的2:自治体内貨客混合による生活総合物流の運用

・可能な限り、既存の域内インフラと人材の登用によって仕組をまわす
・理想や満点を掲げたり追求することは原則として禁止
・みじめやみすぼらしいやこころぼそいは排除
・できないことはしない
・できないと ‘ やらない ’ をすりかえない
・死ぬまで何かの役割をもつ
・次の世代につなげる

以上7項目を住民全員の約束とする。
それが始まりの第一歩だ。

― 次章に続く―

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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