国産品に比して、輸入品、特にアパレルや雑貨の品質検品は厄介なことが多い。
輸入元として海外の製造元の生産技術や品質を理解把握し、国内市場に流通させるための検品や付け替え等の「的確で合理的」な作業指示書が用意できる会社は極めて少ない。
そしてそれができる会社は例外なく優良企業との誉れ高いことが常だし、私の知る限りは有名ブランドとなっている。
今や「まれに」となってしまったが、庫内作業者にはものすごい検品技術を持つ者がいる。
まさに職人、プロフェッショナルとしてあがめられて、みたいなオバチャンやオッチャン。
私の記憶にあるだけでも数人の顔が浮かぶ。
これに関連するハナシを以前書いたが、流れるような手さばきを傍で目にする者は、凝視したまま時間が過ぎる、、、というのはあながち誇張ではない。
倉庫業務の中で、検品ほど会社によって向き合い方の異なる業務はない。
まず「請ける・請けない」「やる・やらない」から選択肢が始まる。
次に「どこまで請けるのか」「どこまでやるのか」と続く。
更に「どこまで約束するのか」「どこまで責任をもつのか」、
物流会社の見積や請求の項目と表記は、「いいわけ」や「めいもく」である。
複式簿記の「借方」「貸方」と同じ関係であり、「理由や説明」と「本当のこと」が等式となってつじつまが合わされている。
特に物流業務では原価の構成要素が非常に単純だから、そのまま利益をのせて請求するわけにもゆかない。
倉庫であれば「床代」「人件費」「資材費および雑費」ぐらいで、最大のコストは「人件費」であることは説明不要だろう。
読者諸氏に質問。
「貴社の受注管理と出荷指示は正しく区分けされていますか?」
回答の概ねは、
「当然である」
「正常である」
「そうであるから今日も仕事になっている」
などの類語が並ぶはずだ。エライお方ならなおさらにそうだろう。
アマゾンは置き配の普及を強烈に推進している。
はたしてそれが「サービス」であるか「やまれぬ事情」であるかの評価は立場や観察地点によって異なる。
受領者の便宜と発送者の合理性が相反しないなら「サービス」で障りないが、必ずしもそればかりではなさそうだ。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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