名門やら老舗と謳われる事業者の倉庫には倉庫職人と呼ぶにふさわしい管理統括や作業責任者がいた。大規模倉庫なら荷主別や区画別ごとに担当者が定められており、それぞれが責任と誇りをもって自分の担当する区画を管理していた。
いうまでもなく庫内における各区画どうしの競争意識は高く、作業精度や作業効率はもとより、清掃や挨拶や備品管理に至るまで「うちの区画が一番」という自信と自負をもって日々業務に勤しんでいた。
「そのとおりです。なので社員やパートさん達の中には、午後から出勤する方もいますよ」
という回答が返ってきて、驚きつつ納得もしたのだった。
終始コンパクトに収めて、運動会ステークホルダーの時間的物質的負担を軽減するように努められている――それに異を唱える声も少ないのだろう、、、と思っている。
今の40代以下の世代は「カシコイ消費・カシコイ選択」が抜群に巧い。それに加えて消費生活の基本が引算であり、ワタクシのようなバブル世代の足算欲求とは対極にある。
そしてカシコイの第一は身の丈に合わぬ無理や見栄に近寄らぬ、という点だ。
虚栄に満ちた昭和万博世代を「痛々しいオジサン・オバサン・ジイサン・バアサン」と胸中引き気味で遠目に眺め、接触を避けたがるのは無理もないハナシだとつくづく思う。
なのに、だ。
なのにどうして見ず知らずの相手から電話やメールが届くのだろうか。
嫌な想像だが何らかの繋がりのある誰かが、投資や回線営業や不動産屋に個人情報を流しているのか?と青臭い疑問を浮かべたりしているいい齢したオッサンであるワタクシなのだ。
業界内外の展示会について感じることは、
「対処策ばかりで根本的な解決には無力な道具ばかり」
「誰に何を訴求すればよいのか判らなくなっている企業が多い」
という点である。
特に機械化・自動化やAIを安直に取り扱い始めたこの数年来は顕著になっている。
現場の働き手たちが不得手・不本意を押し殺すあまり、本来の得手や本意が陰り衰えてゆくのは現場の損につながるのだが、それに気付かぬ管理者は多い。
あきらめるほど頑張ったのか?を自問するのは管理層だけで十分である。
実作業を担う現場職たちは苦手なことからは素早く逃げて、得意なことだけを懸命に行っていればよい。各人の特性によって生じる業務分担の凹凸を均す作業は管理者の仕事だ。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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