
先週に続いてちょっと変わった、、、すごく変わった請求のハナシであります。
ECの荷役を従量ではなく重量で請求する必要がある――と貴方が告げられたなら。
いったいぜんたいどーしますか?
「はっ?またまたご冗談を。ネジやハトメじゃあるまいし、、、ハハハ」
とやり過ごしてみたが、相手は真顔のままピクリとも動かない、ならどーでしょう。
というのが今日のハナシであります。
念のため言い添えておくが、
「変わっている=悪い」
と断じているのではないので誤解なきようお願いいたします。
「ECを手掛けるにあたり、こんな状況が不合理なのは重々承知しているのですが、、、」
という荷主担当者の言葉を添えておく。
不本意さ満面で俯きながら、
「業績厳しい中で、新たなシステム構築費用の捻出が、、、」
という実情のもと発せられた言葉だった。
上段の荷主言葉を読んだだけで、
「あぁ、そういうことか。そこそこ社歴のある製造業なのね」
と即座に反応した方も多いかと思うが、まさにその通りなのであります。
おそらくきっと誰もが知る企業である。加えて時代の流れに翻弄されつつ、大きな変革や改廃を強いられ続けてきた経緯も皆が見聞きしたことがあるはずだと思っている。
(毎度のとおり、現在・過去・未来の関与荷主名は明かさぬのであしからずご了承のほどを。訝しいならツクリバナシとして読んでいただいてよろしいかと思う)
名門メーカーたるその企業が新規ビジネスとして自社製品と他社の関連商材を取り扱うECを運営するようになって数年。
しかしながらECサイトは新たに構築・運営できているものの、物流業務は親会社に丸投げ状態なので、平たく言えば仕入とサイト運営しかやっていないというのが実態だった。
祖業から多角化の一環として着手したECと付帯業務。
しかしながら想定以上に発生する入出荷トラブルやいつまで経っても払拭できぬ異物感に限界を感じ、親会社内でも物流業務は外注しようということになった――という説明だった。
ちなみに親会社には立派な物流子会社があるが、ECの物流とは縁がない。
「たぶん個配出荷に本腰入れるつもりなどないでしょう」
というのが担当者殿の言葉だった。
早速ヒアリングに取り掛かったとたんに足踏み状態となった。
EC事業の主体たる子会社では、一般的な「作業単価×従量による積算」という試算作法に馴染みがないどころか、見積書の読み方がわからない、という事実がわかったからだった。
祖業では個数従量ではなく出荷重量による物流費算定が通常であり、請求も商材群別の「重さ×重さ単位当たり単価」の積算による従量請求が社内では普通の請求業務。
連結対象子会社として、物流費の算出には親会社のシステムを使用することに議論の余地はなく、経理も財務も基幹システム内での子会社管理を大原則としている――それ以外の選択肢はない、とのことだった。
その実態を最初に聴いたワタクシの第一声は「理解できる・できん、以前に商品マスターをいじらねば、、、ん?今現在、親会社はどうやって請求しているのですか?」だった。
目の前でモゴモゴフガフガと歯切れ悪い説明を始める担当者殿。
しばらく聴いてから、
「単刀直入におうかがいしますが、実は出荷明細から類推した概算請求になっているのではないですか?その額を答として重量積算式に数字を当てはめる方法で」
と抑えた声で問うてみたら、案の定「おっしゃる通りなのです」とのことだった。
“ EC専売品の商品マスターに登録された重量あたりの荷役コストを各種荷役の単価に置き換えるロジックと演算式の構築は担当者殿のチームなら対応可能だろう。
従量計算するにあたっての最適な荷役単価の設定方法を私が教授すれば事は成るはず ”
というふうに即座に切り替られたのは、担当者殿の地頭の良さが会話の端々に漂っていたからに他ならない。こちらの質問に即答する・しないのメリハリが「会社の事情を酌んで」という大人の使い分けになっているのは素晴らしいと感じていた。
つまり理想まっしぐらではなく、できることから着々と積上げていく根気がある――のような感触が、変わった依頼に臆することなく取り組めた要因だった。
「今月のEC出荷量、けっこう重いなぁ。売上好調だねぇ~」
という言葉が荷主企業内にあるのかはわからない。
管理職の誰かが独り言で、、、という妄想を楽しんでいるワタクシであります。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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