物流よもやま話 Blog

ブルブルやらグラグラやらで落ち着かぬ

カテゴリ: 実態

いやはや本格的に寒くなってきた。
特に今週は朝の冷え込みが厳しくなって、場所によっては氷点下かその間際まで気温が下がっているようだ。この分だと路面凍結や濃霧による視界不良が事故につながることも多くなるので、走行時間帯やルートの調整が可能ならば、是非とも工夫してほしいと願う。

ブルブル震えながらの通勤や業務のなか、地域によっては大きな揺れに見舞われる不安が重なっている。先月来少なくない数の強い地震が発生し、その地域も広範に及んで不気味だ。
地震に加え、警戒レベルの降雪や低温が重なれば、否応なく物流機能に大きな支障が出る。
特に、急速発達して降雪や降雨をもたらし、地上に激甚な被害を及ぼす帯状の低気圧には要注意だ。かといって、現状では事前予測には時間的にも精度的にも限界があるので、万全の備えや回避を施すまでには至らないのがもどかしく寄る辺ない。

毎度書いているように、常態ではなくなる可能性をはらむ気象予報などの発表時、物流事業者および荷主各社には、無理せずに「止める」という判断を是非選択していただきたい。
物流の正確性に「時間」は不可欠な要素だが、かといって人命にかかわるリスクを冒してまで厳守するような価値のあるタスクなど滅多にあるものではない。一部医療関係の一刻を争う輸送物などを除き、一両日程度の遅れによって取り返しのつかない事態に陥る荷などほとんどないはずだ。
あたかも緊急で重要と看做されている仕事のほとんどは、ひとえに関与者の「意識」が生み出した想像の産物でしかない。「そこまで急ぐ必要などなかったのに」「なぜ不眠状態で長時間労働したのか理解に苦しむ」などの第三者の評価は、物流事故の毎度の総括として数多い。

天災はあくまで事故発生した際の環境であり、主因は人災であるという事実から目を逸らしたり、ごまかしたりしてはならない。そこを明確に突き詰めて検証しないまま事故報告をまとめている限り、近似同類の事故が再び起こる。
有事の際の「環境」が異なっているので、一見別物に視えてはいるが、その実は過去の事例と同質の「人や仕組が引き起こした因果」であると推して知れる不幸な実情は、これ以上私が言及せずとも、現場関与者なら誰しもがわかっている。

もはや一刻を争う理由などなくなりつつあるわが国の消費実態。
「どこの誰と何を競っているのか」がわからないままガムシャラに急いでいるのだとしたら、立ち止まって思いを巡らせてみてはいかがだろうか。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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