物流よもやま話 Blog

エンドクレジット2023

カテゴリ: 本質

カレンダーを眺めると今年の越年休暇は大多数が今日から6日間か7日間。成人の日までの11日間という大型連休もありそうだが、そういう待遇のできる会社はまだまだ少ない。
暖冬の予報に違わず、年末年始は雨曇天ながらも寒気弱く穏やかに過ごせるらしい。そんな空模様に倣って世の中の万事が「概ね平穏」な状態になればよいのにと願う。

2023年は疫病への警戒が弱まり、委縮・膠着していた世界中の諸事が回復に転じた。
一方でいただけないのは遠い地での戦争やその炎に薪をくべるような大国の動きだ。
Logistics(兵站)という言葉の始まりを今さら説明しないが、現代となった今も死語と化さず、戦地で機能しているという事実には暗く深く沈みこむような気分に陥ってしまう。
月並みで無力な自身が怨めしいが、ただただ戦争終結を祈るばかりである。

ワタクシの「月並みで無力」を数え始めれば指折り勘定では間に合わぬほどある。その状態が若き日の大昔以来まったく変わっていないという事実と向き合うことなど言語道断であると自らを律している――と普段は徹底的に警戒用心しているはずなのに、年末のひと時にふと魔が差して指折り数え始めてしまうことがあるのだ。

「月並みで無力」は企業物流のサポート時にもしばしば感じる。部外者として力の及ぶ限界を思い知り、超えてはならぬ一線の間際で言葉を押しとどめる際にも強烈に沸き上がる。
自己採点については低い方だと思っているが、他者から望外過分でしかない高い点を付与されることも多く、そのギャップに苦しむ人生がずーっと続いている。
いい齢をして情けないが、自己演出や自己評価を他者に伝えることが苦手なのだ。
過大過小、誤解や曲解を訂正修正する前に「まぁ、いいや」「そうならそうで仕方ねぇ」と諦めてしまうこと数多。立ち回りや発言の損得勘定ぐらいはできるつもりだが、性格的に言動化できぬようだ。で、今に至るというわけなのだ。

読者諸氏の中にも、他者の言動に対する困惑→憤慨→虚脱→諦念→無為という心情変化について、理解や共感いただける方がいるのではないか、、、きっといる、、と思っている。

たとえば「言葉足らず」という言い回しがあるが、確かに自身についてあてはまる点大いにあり、は認める。だからといって反省したり改めるつもりはない。なぜなら聞き手の「足りる」とは私の伝えたい中身とは非なる物であることが多く、もはや迎合や歪曲といった修飾語を用意せねばならぬことになってしまうからだ。つまり相容れぬ関係だと言い換えてもよい。
予備知識を得ぬままにロクな事前準備もせず、手ぶら丸腰のまま臨席し間抜けな発言を臆することなく発する対手に「言葉足らず」と指摘されても訊く耳もたぬだけのことだ。
これまた相容れぬ相手としか言いようがない。

かといって、私が正であるとか真であるとか是であるなどとはみじんたりとも秘して判じたりしていないので、あしからずご承知おきを。
それどころか私が相容れぬとする相手のほとんどが常識を持ち合わせた企業人であるはずだ。
少なくとも所属団体内では一定の評価を受けているのだから、浮き草のような拙者と並べれば優劣は明らかなのだろうと思う。つまり、上の句にたくさん御託を並べても、下の句の結びはこちらがへんてこりんな奴なのだということになるのが常なのだ。
ゆえに「困惑→憤慨→虚脱→諦念→無為」が自身の慣わし化してしまったのだろう。

何も世を憂いて捨て鉢になっているのではない。
事なかれ主義で無難に過ごそうとしているのでもない。
そのあたりの伝達表現は難しい。あとは皆様の読解に丸投げしてお任せする。

ハナシは変わるが、、、というよりここからが最初に書きたかったことだった。
気が付けば関与先の経営層の過半、管理層の大半は年下となっている。他業種・他職種に比してまだまだ低いながら、役席の女性比率も向上している。
特筆すべき傾向として、40代以下の経営層や管理者には質実さと明快さが目立つ。人間関係や組織論の過剰介入を認めずに議論や計画を推し進めるし、そのスピードには目を瞠る。
かといって対人でのコミュニケーションを軽んじたり不要としているのではなく、必要十分となる尺を的確に測定できているように思える。なので「会して議せず、議して決せず、決して行わず」というひと昔前の「会社ごっこでお仕事ごっこ」的な不毛さが皆無に近い。
話していて足踏みや一進一退がとても少なく、たいへん好ましく頼もしいと感じ入ることたびたびなのである。少なくとも私の関与先についてはそれが日常となっており、経営層は後ろに下がって見守っている。事業が堅調に推移すれば、それを支える下半身たる物流部門はハイパフォーマンスを維持するはずだし、能動的な物流戦略を策定し展開できるだろう。

本年の最終掲載なのに、仕事がらみの野暮なハナシはこれぐらいにしておかねば。

 

一年の始まりと終わりの境目や段差が小さくなってゆくばかりの近年。
それはそれで時世の理として受け容れなければならない。
下の世代に託すべきものについては、もはや口出しや手出し無用である。
ただ見守るだけでよいと思う。

国内においては縮小と抑制。
国外では若い国々への協力と協調と協働という係わりかた。
こんな言葉が過る年末の今である。

本年も拙稿をお読みいただきありがとうございました。
つい今しがた脳裏に流れ始めたエンドクレジット。
そこにはご縁をいただいている皆様のお名前が次々に流れてゆきます。
越年から年明けの数日間、皆様が穏やかにほほえみの時をお過ごしになりますよう、心から祈念いたしております。

一年間ありがとうございました。
いつも感謝しております。
永田利紀

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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