先月初旬だったか、「ユニクロがすげぇことを始めた」と知り、内容を確認してみた。
確かにすごい。TOYOTAのアパレル版をやろうとしていると感じた。
しかしながら物流業務全容からトリミングされているので、切り落とされた残りの部分が気になった。「すげぇこと」と「今までどおりのこと」の業務連動や庫内同居に支障が出るのではないか?という外野の老婆心みたいなものだが。
物流の仕事をしていると、避けて通れない出来事の一つに企業の経営破綻がある。
完全な破綻もしくは破綻処理に差し掛かった時点で、在庫保管場所の倉庫にも作用が及ぶ。
荷主企業が破産手続を開始したり、債務不履行で債権者から仮差押え手続を執行されたり、法的な手続き以前に納品元が自社商材の回収を強制的に行おうとしたり。
企業内にはさまざまな業務がある。
一般的な区分けとは別に、その企業固有の ‘ ルール ’ や ‘ コード ’ が存在する。
競争や駆け引きの中では白か黒かという区分や明瞭さを善とできないこともある。
不透明さや視えにくさは、時として必要な選択肢になるのだろう。
しかし、あらゆる企業で物流と経理だけは装飾や折合があってはならない部門だ。
他部門のように一定の不可欠な「灰色」の存在は、経理と物流には禁忌。
業態という言葉を無意識に口に出してしまう。
しかし物流の業務設計や実務やOJTではまったく意識しなくなっている。
玄人ならアタリマエのことだが。
物流の根幹にある「理由」は消費に他ならない。
消費動向が全てを決定する。
物流関連の業界紙や専門誌、専門書の類をほとんど読まない。
その理由に全く悪意はないし偏見もない。
ただ単に「ピンとこない」からだ。
自身が関わってきた荷主企業との遣り取りの根本や本質に合致する内容が非常に少ない。
「実感を持って読めないから」が理由。
企業内の物流部門は名実ともに川下に置かれ、その立場はとても弱い。
というケースばかりではない。
社内的には専横と陰口を叩かれるほど、自部門至上主義を貫いていたりする。
「ここだけの話です」と小声で首を傾げる仕入や営業部門の担当者の顔が何人も浮かぶ。
‘ 建前としては完全内製 ’ の自社物流では珍しくない現象だ。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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