「空前の売手市場」
「新卒者の奪い合いが激化」
「中小企業には厳しい若年層の人材確保」
最近よく目にする記事の見出しだが、俗にいうバブル世代にあたる私には新鮮味が少ない。
事業好調・業容拡大に起因する旺盛な採用ニーズではないところが過去と違う点だろう。
企業の倉庫業務は外部者から視えにくいが、その中身が及ぼす影響は大きい。
厄介なのは「何かおかしい」「言ってることとやってることが」「意外にルーズでいい加減なのかもしれない」「期待していたが、こんな体たらくだとは」
のような言葉で企業としての信用や信頼を失う要因になるところだ。
市場での評価や勝利という言葉が指し示す意味は時代と共に変化してゆく。
長期的な基礎的条件の予測によって、勝ち方や生き残り方の舵取りが左右される。
近年は以前にまして「構造」と「情報」という要素が企業業績に大きく関与している。
制御が難しい「構造」や、毒にも薬にもなりえる「情報」というナマモノをどう扱うかは、業績だけでなく内部統制にまで大きな影響を及ぼす。
物流業務はその中核である合理的で機能的な業務フローの運用と計画的なOJTの徹底で一定の成果が得られる。
背後にコンパクトで単純なWMSを走らせてやれば、効率と正確性の並立の助けになる。
庫内システムのチェック機能に依存することは厳禁だが、人的ミスやエラーに対する保険として手当てできることも事実。
しかし、あくまでもバーコードなどの「デジタルインフラありき」でのハナシである。
自社商品のさまざまな意匠や差別化・品質管理・イメージへの徹底したこだわり。
自社顧客の各種属性や購買動向の把握・分析・対処・使用感の情報収集には熱心。
なのに、なぜ物流業務の「自社規格」を設計しようとしないのだろう。
物流は「宣伝」「集客」「販売」の仕上げなのだという意識が持てないからなのか?
取扱商品はOEMやPBがあたりまえなのに、なぜ物流は既製品を仕入れて済ますのか?
企業の物流業務は外部委託が主流である。
自社倉庫運営にあたり、作業請負業者と契約したり、3PLに丸投げしたり。
言い回しや理由付けの順番に違いこそあれ、どの企業も似たような実態や本音を抱えている。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
ご相談・ご質問等ございましたら、
お気軽にお問い合わせください。