顧客理解が得られるなら「全部止める」が最善と判じる次第だが、時給や日給で働くスタッフにとっては必ずしも肯けないかもしれない。月の約3分の一が休みになるということは、収入もそれに準じて減るわけだから、生活収支に影響大であることは推して知れる。有給扱いの長期休暇を堂々と取れるような現場はまだまだ少ない――正規・非正規の別なくだ。
出荷スピードと到着所要時間を競争の具にしている事業者はまだ多数いるが、そのうち息切れしてビジネススキームを改めるか、ブレーキを踏めぬまま壁に激突して停止するかのいずれかになるだろう。物流において競うべきは品質。一定以下の低コスト短時間は競うべき品質の敵としかならない。本末転倒の競争意識は滅びの道でしかないと断じておく。
廉価請負×長期拘束の連鎖で「大工は若者が忌避する職業の最たるもの」に追いやった張本人とされているハウスメーカー各社は、今となって慌てふためいて職人養成に力を入れていると聞く。価格競争のしわを下請けに寄せ続けた成れの果てというわけだ。
どっかで聞いたことがあるようなハナシである。
次は物流屋の番か。
なんていうつぶやきを押しとどめている今である。
この数年で仕事用の距離計測にはレーザーメジャーが主役となってしまったので、いわゆる“巻き尺”の出番はすっかり減ってしまった。
自宅用は頂き物の工具セットに含まれていた3mぐらいの小型メジャーで事足りていたのだが、「より長いタイプも備えておかなきゃなぁ」と思い始めて幾年月。
営業スタイルが見直されれば見積作法が変わる。見積項目の共通化が進めば、単価とその内容の因果が明朗となるし、健全な競争意識が促される。つまり安い高いの理由が明確にされるので、単価設定の合理性が問われる緊張感のもとで営業活動が行われる。特に運送業や営業倉庫においては、真っ当な提案と約束事の厳守を旨とする事業者が日の目を見ることになる。
今後の物流機能に必要な言葉は「適宜」や「適時」に尽きる。
その大前提となるのは、現在から近々までの顧客要望の推移を「正確に把握・分析・検証・予測・精度向上」というサイクルに取り込んでズレを防止する最適化手順の徹底である。
サービスの抑揚や改廃を決定するにあたって、勘や根拠なき予感は厳禁。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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