
現場のゆゆしき問題のひとつに動線の設計や規定がある。
庫内自動化の前提条件となる利器類導入についても、動線の基本設計無くしては不可能だ。
過剰供給された新築倉庫の広大な床面積のおかげで、過去には叶いようもなかった横動線の実現があちこちの現場で行われているようだ。
すなわち、見目麗しく、立て板に水を流すような作業手順が可能となるわけだが、必ずしも口上どおり事が運ばぬことなど、玄人ならも誰もが想うところだろう。
昨年最後の掲載はクリスマスだったが、今年は大晦日となった。
一年間を経た今日も、疫災収束の目途は立たず、マスクと人流抑制の欠かせぬ日々を強いられたまま世界中の人々が越年の時を迎えようとしている。
それゆえなのか、締めくくりというより暦に合わせての文言を並べているだけという感が強いのは、世間一般に通じる様のようだ。
凍えるヤードでの荷捌きは顔面の感覚がマヒするのが毎度だろうし、庫内の床面から足下に這い上がりまとわりつく冷気の膜は、時間の経過とともに作業集中力を減じさせる。
足下用の暖房機を個々にあてがえる現場ばかりではないし、外側から暖気を得るよりも、衣類の内側で保温するほうがはるかに効率も効果も高い。
近年の物流施設の進化にまつわる今さらの詳細説明は不要だろう。
特に新築大規模倉庫は、最新の空調・照明設備、食堂や休憩スペース、売店、託児所などの従業員向け福利厚生面を充実させるための仕様を前面に並べての物件宣伝に努めている。
追随する既存施設も相応の改装や改築に注力しているわけだが、狙いとしては荷主の印象向上にとどまらず、従業員確保や雇用維持にまで拡がっている。
「どうかこらえてください。続ければ手が後ろに回ります」
そんな過去の一場面が突然脳裏に立ち上がり、しばらくして消え去った昨夜だった。
ちなみにこのような不意の回想は珍しくも稀でもない。時と場所と相手を変えて、いくつかの出来事の記憶が切り取られてよみがえる。
データ依存と数式化へのこだわりを緩めることが増えた。
物流業務の基本は引き算の追求であり、1+1は常に2でなければならないという大原則を曲げる趣旨ではないまでも、ある程度の「あそび」はあってもよいのではないか、という意だ。
顧客から業務委託される営業倉庫が自ら発するべき言葉ではないと承知しているものの、自社物流なら「それもまたありなのでは?」と考えるようになってきている。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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