
しかしながら物流現場の実態や実感としては昔の方が無駄や余分が少なかった。
おそらくきっと共感していただけるベテランの方々は多いと察するが、手作業や手書帳票で迅速かつ正確かつ潔癖な現場運営を行い、限られた床面積と天井高の保管スペースに満床以上の荷を預かるためには、合理ではなく無理が常在していた。もちろん無理を分解して切りつめた合理で組み立て直して“道理”に変えるなければ「仕事になってない」と誹りを受けた。
現場を知らずして巡回などできるはずがない。
しかし現場を知っているだけでは、巡回時に気付いたり立ち止まったり虫が知らせたりはしない。現場とそこに繋がるいくつかの線の先にあるモノを把握していなければ、現象として目前で起こっている事態の因果を特定できない。
こんな風潮の蔓延やハラスメント警察の闊歩について何かを申し述べるつもりもない。世相に対する自身の不本意や不満を無難に往なそうとしているわけでもない。
「踏み絵や魔女狩りはその時代の断末魔のあらわれなのだよ」
などという発言を行動に移す気力と体力が失せようとしている昨今、老兵は黙して後進を見守り後押しするのが最善と心得ている。
私が直接かかわったり見聞きした実例に加え、ゼネコンやディベロッパーの開発責任者から聞いたハナシを要約すると「修繕せずに撤去」という選択をする事業者が多い。
具体的には「建屋に掲げている大型看板の撤去」「立派で巨大な正門構えを撤去して簡素化」「植栽の減数」「敷地内余暇設備の撤去」など、挙げだせば結構な数になる。
販売全般に係る事業の上半身の健康診断や体力測定などに併せて、下半身たる物流や管理の機能評価がなされる。
その結果として、雨降って…や、災い転じて…のような事例も少なくないので、そういう機会に遭遇すれば今まで「一応伝えた後にひっこめてきた」正論が通ることもある。
特に緩衝材についてはEC興隆で資材市場拡大の今となっても迷走状態か改善停滞状態のままという現場が多い。簡易包装・梱包の掛け声盛んで、実施も進んでいるものの、受領者がいざ開梱してみれば「とにかくズレないように・偏らないように・カドあて・へこみなどがないように」とこれでもかっ!ぐらい緩衝材が詰め込まれている。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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