
私が直接かかわったり見聞きした実例に加え、ゼネコンやディベロッパーの開発責任者から聞いたハナシを要約すると「修繕せずに撤去」という選択をする事業者が多い。
具体的には「建屋に掲げている大型看板の撤去」「立派で巨大な正門構えを撤去して簡素化」「植栽の減数」「敷地内余暇設備の撤去」など、挙げだせば結構な数になる。
販売全般に係る事業の上半身の健康診断や体力測定などに併せて、下半身たる物流や管理の機能評価がなされる。
その結果として、雨降って…や、災い転じて…のような事例も少なくないので、そういう機会に遭遇すれば今まで「一応伝えた後にひっこめてきた」正論が通ることもある。
特に緩衝材についてはEC興隆で資材市場拡大の今となっても迷走状態か改善停滞状態のままという現場が多い。簡易包装・梱包の掛け声盛んで、実施も進んでいるものの、受領者がいざ開梱してみれば「とにかくズレないように・偏らないように・カドあて・へこみなどがないように」とこれでもかっ!ぐらい緩衝材が詰め込まれている。
しかしながらこの数年来は「現場での食中毒もしくはそれと疑わしい事例」が、もはや看過できない状況になっている。社食や弁当類の別はあれど急増していることは明らか。
「原因は尋常ではない高温」に違いないとはいえ、対処できること・対処できないことの実態と事情のばらつきが大きいゆえになかなか抜本的な改善ができていないと聞く。
「いつもどおり」「何も起こらない」を支えるために物流のプロフェッショナル達はいかなる時も標高ゼロの「あたりまえという名の山」を登り続ける。
という持論は世界中の物流人が肯く真理だと信じている。その「あたりまえ」をアタリマエではないほどにやり抜く執念や拘りの強さこそがわが国の蔵人の真骨頂なのだ。
8月9日から17日まで稼働日ゼロという倉庫や運送部門は少なく、途中の何日もしくは交代勤務で業務を行う事業所が多いはずだ。
毎年書いているような気がするが、現場職も管理職もこういう期間にこそ「普段できない面倒事」を捌いたらいかがかとお勧めする次第だ。管理職諸氏は庫内データの分析と切り口を変えての統計化、組織図や職務管掌区分の再考など、できることは結構あると思う。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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