
前にも書いたが大型車のスタッドレスタイヤの価格をきけば、中小零細の運送事業者はおいそれと「冬季には全車両履き替えさせています」と言えぬ事情も理解できる。
「降雪地帯への仕事を請けたいが、寒冷地を走れる足の車がない」という切実な声が聴こえてくるのもこの季節ならではだ。
仕事量が減った物流施設では人員整理が活発化し、雇用形態にかかわらず雇用調整や勤務時間短縮による所得減少が目に付いた。かたやで雇用調整金を活用して乗り切った事業者も多かったはずで、あの資金がなければ倒産や廃業の数は数倍になっていただろう。最低限の人員確保ができたおかげで、疫禍収束とともに再稼動できた物流施設はたくさんあった。
読者諸氏にも甚大な被害の出た倉庫火災の映像は未だ生々しいはずだ。
関東圏と近畿圏で鎮火直後の現場を視察してきたわが身としては、視覚以上に嗅覚の記憶として忘れることができない体験になっている。
鎮火して数週間経過してなお、近隣に強い焦臭を漂わせ続ける燃え落ちた倉庫建屋。
その黒い残骸は画臭一体となって鮮明なまま脳裏に焼き付いている。
物流業界のテーマは「いかに時間猶予を確保するか」であり、その達成度によって労働効率や人材確保の中身が大きく変わってくるはず――というのがかねてよりの自論である。
販売や営業の前線で顧客に合理的な説明で裏打ちされた「時間的許容」を訴求して確保できるか否かによって物流品質とコストは正比例したり反比例したりするのだが、
本年もよろしくお願い申し上げます。
読者諸氏それぞれに、
「めでたい」
「めでたくない」
「どっちでもない」
「うちは喪中じゃ」
などさまざまかと思うので、年始挨拶は冒頭の一行にいたします。
しかしながら物流の昔ばなしやアナログ時代の現場道具のあれこれを是非お調べいただき、熟読検分いただきたいと何度となく訴えてきたのは、上記と同じ理由によるものである。
唖然として目から鱗が落ちるような時間となること間違いないはずである。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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