
物流業界のテーマは「いかに時間猶予を確保するか」であり、その達成度によって労働効率や人材確保の中身が大きく変わってくるはず――というのがかねてよりの自論である。
販売や営業の前線で顧客に合理的な説明で裏打ちされた「時間的許容」を訴求して確保できるか否かによって物流品質とコストは正比例したり反比例したりするのだが、
しかしながら物流の昔ばなしやアナログ時代の現場道具のあれこれを是非お調べいただき、熟読検分いただきたいと何度となく訴えてきたのは、上記と同じ理由によるものである。
唖然として目から鱗が落ちるような時間となること間違いないはずである。
運送や荷役・保管業務の見積作法や請求項目の標準化については、「徹頭徹尾」というのは無理があるにしても、一定水準まではなされるべきである。
荷主企業が比較検討しずらいことを保身の盾にするような事業者は淘汰されること自明だが、新手の出現を抑え込まねばいつまで経ってもイタチごっこのままである。
しかしながら物流現場の実態や実感としては昔の方が無駄や余分が少なかった。
おそらくきっと共感していただけるベテランの方々は多いと察するが、手作業や手書帳票で迅速かつ正確かつ潔癖な現場運営を行い、限られた床面積と天井高の保管スペースに満床以上の荷を預かるためには、合理ではなく無理が常在していた。もちろん無理を分解して切りつめた合理で組み立て直して“道理”に変えるなければ「仕事になってない」と誹りを受けた。
「いつもどおり」「何も起こらない」を支えるために物流のプロフェッショナル達はいかなる時も標高ゼロの「あたりまえという名の山」を登り続ける。
という持論は世界中の物流人が肯く真理だと信じている。その「あたりまえ」をアタリマエではないほどにやり抜く執念や拘りの強さこそがわが国の蔵人の真骨頂なのだ。
物流現場的には「数量差異」、財務的には「原価差異」を主眼に在庫差異を追い、修正や調整を行うのである。
国税的には一にも二にも「在庫金額」に焦点を当てて調査するので、企業内では物流部門と財務や経企部門では興味の対象が大きく異なる。
つまり決算利益を左右する期末在庫金額の着地点が目論見や予想と乖離すれば、決算予測がぶれてしまう。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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