「面接の際には10年後の主力となってくれそうな人を第一に採用しています」
という言葉だった。
その物流拠点は自社の知名度と好感度の後押しもあって、現在はパート従業員の採用に困っているわけではない。
なので余裕のある今のうちに、「この人はいずれ主力になってくれそう」と思える応募者については、年間の所得制限や子育ての都合で変則勤務だったりしても、できる限りの融通をもって勤務継続できるよう取り計らっているのだという。
人材育成と雇用安定は部門経営の基本。
売手市場であるからと言って、あまくゆるい体制管理はなんの解決策にもつながらない。
辛辣に過ぎるかもしれないが、管理者の怠慢と能力不足が「働きやすさ=従業員への忖度」という見当違いも甚だしい「安直で汗をかく気がない愚」を生み出している。
「フォークリフトの操作がものすごく達者なのに、解雇されてしまった若者」のハナシを以前書いた(どの原稿なのかが不明)が、今も現場実情はたいして変わってはいない。
庫内やヤードを20km/h以上のスピードで疾走し、急転回・急停止・急発進を「腕の見せどころ」と勘違いしているリフトマンはまだ多い。
公道での自動車危険運転と同様な事態を、「まぁこんなもん」と看過している管理者やその上席者は少なくないが、操作者以上に叱責と重罰が課されてもいたし方ない
先日テレビニュースを観ていたら、高齢化・過疎化が進むエリアでの「荷を届ける方法」についてのハナシが放送されていた。
その特集ではドローンを活用して高齢者世帯やへき地に住まう住民に配達できないもんかとアレコレ苦心する人たちの姿が映し出されていた。
私には起点となる「自分」がなかったのだろう。起点がないのだから走っても歩いても跳んでも這っても、「どれぐらい進んだのか」が自他ともにわからない。
なので自身では「あれもこれもぜんぜんできてない」、他者からは「いつも忙しそうだ、ということ以外はよくわからない」となってしまっていたのかもしれない。
大型トラックの中長距離便では女性ドライバーの数が増加している。
そして遅ればせながらも若い男性の運転手をよく目にするようになってきている。
と感じているのは私だけはないようで、関与先に出入りしている現役ドライバー諸氏に確認してみた結果、「若い人の入社が目立つようになってきている」とのことだった。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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