物流倉庫の実稼働はパート従業員で成り立っている。
組織的には正社員が運転し、車掌の役目も果たしているバスのように見えるが、実は乗員であるパートさんたちが降りてしまうと物流現場というバスは運行できなくなる。
社員だけで動かすと、すぐに事故を起こしたり、出端にエンストしたり。
車庫入れさえまともにできなかったりする。
物流の仕事をしていると、避けて通れない出来事の一つに企業の経営破綻がある。
完全な破綻もしくは破綻処理に差し掛かった時点で、在庫保管場所の倉庫にも作用が及ぶ。
荷主企業が破産手続を開始したり、債務不履行で債権者から仮差押え手続を執行されたり、法的な手続き以前に納品元が自社商材の回収を強制的に行おうとしたり。
物流業務はミスとの闘い。
と、繰り返し言い続け、書き続け、夢でうなされ寝言にまで。
ほとんどの場合、間違いの原因は内部にある。
取引先の無理難題強要による不可抗力的な、、、なんてことは極めて少ない。
少し前のことになるが、RFID;いわゆる「ICタグ」の講習会に参加した。
数年前から情報は得ているし、顧客から導入相談されたこともあった。
ある程度は理解しているつもりなのだが、系統立てて基本から学んだことがない。
というわけで、初心にかえって学んでみよう!
と申し込んだのだ。
その経営者は「入荷ミスも誤出荷も在庫差異も有ってあたりまえ」と断言した。
物流屋の理屈を理解はしても認めず、顧客へのサービスは頻繁な新商品入荷と低価格が唯一無二という自身の信条を曲げず、自社の物流に高品質という言葉は不要と笑顔で言い切った。
「対前年」とはあらゆる経営指標の比較に最も用いられる表現。
反面それが企業の本質的な数字把握を鈍らせている原因であることが多い。
昨年対比というのは、相対比較であって、売上にしても利益にしても経費にしても、「なぜそうなるべきなのか」「なぜそうなったのか」は、もう一歩踏込んで解析しないと判明しない。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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